† 集団エゴイスト †

□その後の彼ら
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《とある男子学生side》


並盛高校


名前とは逆に、全国でも屈指の学力を誇る我が校だが、俺の同級生や先輩たちは歴代でも群を抜いた集団だった。




一つ上の学年にいた雲雀さんや笹川先輩は同世代とは思えないほどの体力と統率力で並高を一気に統治下に治めた。


そして同学年には、その先輩たちを凌ぐすごい奴らがいた。




まず、獄寺隼人はその不良っぽい見た目と裏腹に、全国模試トップを3年間キープするという偉業を達成した秀才だ。
ハーフらしい美形を活かして学生ながらファッションブランドを企業して経営していたり、モデルの姉がいたりするらしい。



次に山本武は野球推薦入学の実力を活かし、決して強豪とは言えなかった我が校の野球部を3年間甲子園に導き、最後の夏には見事優勝まで果たした。プロの世界からのスカウトは日本だけに限らず、すでに海外からも引き抜きの話がきているそうだ。






そして最後に忘れてはならないのが、沢田綱吉だ。



獄寺と毎回同点で全国模試トップをキープし、その華奢な体躯からは想像もつかないほどの運動能力はけっして山本にも引けを取らない。

何より、本人のカリスマ性とでもいうのか、周囲を惹きつけてやまないオーラがものすごい。



獄寺・山本、雲雀さんや笹川先輩がいつも周囲を牽制しているので不用意に他人が近づくことはできなかったが、老若男女問わずファンが多かったのは間違いなく沢田さんだと思う。



山本や獄寺はことあるごとに女子たちに黄色い声を浴びせられていたが、沢田さんはそういった表立っての行為ではなく、いっそ信仰されているとでも言えばいいのか…密かに憧れ遠くから見守る、というスタンスの崇められ方だったので、おそらく本人はこれほどのファンがいるとは思っていないかもしれない。


とにかく、そんな凄い奴らがいたこともあって、地元で一番の秀才と言われて天狗になっていた俺の鼻は入学早々に折られることとなった。


俺以外にも、頭脳や体力に少なからぬ自尊心を持っていたであろう級友たちだが、井の中の蛙だった自分たちを恥じる結果となった。



俺は並盛外からの入学だったので中学時代の彼らを知りはしなかったが、並中から並高に進学してきた同級生いわく、沢田綱吉は中学時代ダメツナと呼ばれるほど勉強もスポーツも出来が悪くダメダメだったそうだ。




高校の姿しか知らない俺にとってはタチの悪い冗談にしか聞こえないが、そいつが言うには凄腕の家庭教師を雇ったそうで、そこからぐんぐんと成績を伸ばし本人の雰囲気もガラッと変わっていったそうだ。




いくら家庭教師の力があったとはいえ、果たしてそこまで人間が変われるものなのか?




いまいち納得がいかないものの、大事なのは今現在の姿である。

噂では家業を継ぐ関係で海外の大学へ進学するそうだが、彼ならどの世界に進んだって成功するだろう。





そんな彼らの姿を3年間見てきた俺たちの学年は、大なり小なり影響を受け、進学率や様々な部活の成績が我が校最高とまで称賛されるほどの結果を残せた。




自分も頑張ろう、まだまだこれからだ、そんなことを周囲に思わせるような不思議な雰囲気が沢田綱吉達にはあった。


こんなに充実した3年間を過ごせたのは一重に彼らのおかげだと思う。



そして、そんな学生生活最後の日。


卒業式がこれから始まる・・・。





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