神々の話し
□始まり
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突然の訪問者に驚いた天使達は
急いで家の中に隠れ戸を閉め
通りを堂々と歩くシュラに視線を向けた。
彼の左側には
片翼を切り落とされ血を流す門番が
残酷にも引きずられていた。
シュラは、天使達の己に対する
恐ろしいモノを見る視線など
一切気にせず宮殿へ進んでいく。
宮殿の前まで来たときのこと
彼は別の何かに
宮殿の外れに
建てられている小屋に
気が引かれていた。
(高貴な香り…と、これは、血の臭いか?)
気付けばシュラはふらふらと
その小屋に引き寄せられ
自然と、鉄格子を覗き込んでいた。
彼は驚くしかなかった。
なにせ、中には鎖で吊され
服も身体もボロボロになった
一人の女神がいたのだから。
シュラは、今までに感じたことのない
不思議で理解しがたい思いと
突如、きりきりと痛み出した胸に
戸惑いを隠せないでいた。