リクエスト

□夢の続きは
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囚人の返り血に濡れながら笑う兄の顔が今でも脳裏から離れない

大罪人の弟というレッテルを貼られ、それでもまだ兄を信じていたい自分

今日もあの日の夢を見る

何も出来ずに立ち止まったまますべての事が終わってしまう夢

そしてろくに眠れないまま朝を迎える



「はぁ…」
休憩所で書類整理をしながら深いため息をつく猿門。
鍛練の五舎と呼ばれるだけあり、リャン達のように猿門を慕う囚人の相手を毎度してはこうして仕事がたまる一方だった。
それに合わせて最近またあの夢を見てしまい、夜もろくに眠れていない。
ふらふらとまた目眩がしてソファーに座りなおす。
「どうしたの?なんか調子悪そうだけど」
向かいのソファーに座るキジがそんな猿門に眉を寄せながら問いかけた。
「いや、なんでもねえ…ちょっと寝不足なだけだ」
「また眠れてないのか?」
あの日以来、ひとりで悩み体調まで崩してしまうことがある猿門を知るキジと犬士郎が心配そうに猿門の顔を窺う。
「だから大丈夫だって」
無理な笑顔を作る猿門に二人はそれ以上何も言えなかった。
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