リクエスト

□南波浴衣day
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本日、南波刑務所では不思議な光景があちこちで見られていた。
看守勢が何故か、看守服の変わりに浴衣をきて仕事をしている。

理由は簡単、刑務所の中ではあまり季節感がないので形だけでも…と看守長が考案したのだった。
看守長たっての案に反対意見は勿論なく、今こうして猿門も浴衣を着用し五舎内部を歩いていた。


「あっ、主任…お疲れ様です!」
「あ?六力じゃねえか、どうした顔赤いぞ?」
舎内でばったりと出会った六力は何故か赤い顔をしていて、どことなく様子がおかしい。
「だ、大丈夫ですっ」
「そうか?でも熱あるんじゃないかってくらい赤い気が…」
そう言って顔に触れてこようとする猿門に、六力は慌てたように後ろにさがる。
「自分は大丈夫ですのでっ。それでは失礼しますっ」
六力は走ってその場を去っていってしまった。
「なんだアイツ?」

首をかしげてその後ろ姿を見送る猿門。
そこに現れたのは、
「主任、なにやってんすか?」
猪里である。
「なんか六力が変だった。赤い顔して逃げてったし」
「ああ、それは多分…」
猿門を上から下まで見たあと猪里は言葉をきる。
「主任の浴衣姿がエロ…イヤ、似合ってるんで見惚れたんですよ」
「似合ってるのかコレ?」
自分でも浴衣を見ながら猿門はまた首をかしげる。
「よく似合ってますよ(めっちゃエロいです)」
猿門の胸元を見ながら猪里は頷いた。
「そうか、ならいいんだけど」
猪里の言葉に納得したのか猿門はフワリと笑う。
「お前も似合ってるぞ」
それだけ言うと猿門はどこかへ行ってしまった。

「なにあれ可愛い」
猪里の独り言は幸いにも猿門には届かなかった。
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