小説2

□甘く蕩けるチョコレート
1ページ/4ページ

「お猿ちゃ〜んw」抱きつく
「うきゃっ!?」
「今日何の日か知ってる?」
「…バレンタイン?」
「せいかーいw俺ちゃんにチョコは?」
「は?」
「俺ちゃんにチョコ頂戴」
「いや…俺男だし、お前にやるチョコなんて持ってねえよ」
「え〜?じゃあ今から作って?」
「今からって、どうやって…」
「俺ちゃんの仮眠室行こっか」
「…チョコ作るのとお前の仮眠室行くのと、関係ないと思うけど」
「いいからいいから」


ご機嫌な三鶴に連れられ、猿門は放送局にある三鶴専用仮眠室へ…

「はい」
生クリームとブランデー、そしてチョコの入ったボールを渡される。
「……ああ」
なんとも用意周到な三鶴に、思わずそれを受け取ってしまう猿門。
「生チョコ作って?」
「生チョコなんてどうやって作るんだよ」
「作り方は本に書いてあるし、俺ちゃんも手伝うし、ね?」
三鶴はそう言って笑うと、机の上にレシピ本を広げ椅子に座る。
「まずは…チョコを湯煎で溶かします」
「湯煎ってなんだ?」
「これお猿ちゃんが読む?」
説明するのが難しいのか面倒なのか、三鶴は本を猿門に手渡す。

何だかんだ文句も言わず、レシピ本を見ながら作業を進めていく猿門。
熱めのお湯の中にチョコの入ったボールを入れ、ゴムベラでくるくるとチョコを溶かしていく。
「あっ…ちゃんと溶けてるね〜。すごいすごい」
そう言って三鶴は、溶けたチョコを猿門の手の中から奪い取ってしまった。
「こら返せ、今から生クリーム入れんだよ」
「やっぱさ、チョコ作り変更してチョコプレイにしよっか?」
「あ?チョコプレイ…?」
「お猿ちゃんにチョコ作ってもらって、ハジメと三人で食べよっかなって思ってたんだけど…お猿ちゃんでチョコ食べるのもありだよね」
「…は?」
にんまりといつもの笑顔で告げられたその言葉に、今までの経験上、嫌な予感しかしない。
思わず数歩後ずさる猿門だったが、腕を掴まれキッチン台に押し付けられてしまう。

「折角バレンタインなんだから、ね?」
「ちょっ…なにする気だよ…?」
「お猿ちゃんあーんして」
逃げ道を防がれ困惑気味に三鶴を見上げる猿門に、放たれるその言葉。
「やだ」
三鶴の纏う雰囲気に、とても従う気にはなれなくて、猿門ははっきりと拒否を示す。
「ふぅん、可愛くない子はお仕置きしちゃうよ?」
「…ッ…いや、だっ」
怯えの色を含み微かに潤みだした猿門の瞳に、ゾクゾクと沸き上がる嗜虐心。
「じゃあお口開けて?」
「…」
まだ甘さを残すその声に逆らう術はなく、猿門は恐る恐る口を開いたのだった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ