*物語*

□出逢い
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風が少し冷たくなってきたこの頃。
日がくれるのも早くなって、屋台前の広場を、カラカラ転がっていく枯れ葉の数も増えてきた。

夕方、肌寒くなってくると温かいたこ焼きを求めてお客さんも増えてくる。

学校帰りの学生さん、お仕事帰りの会社員。


近頃は、通りに面した公園の広場に屋台を出していて、そういったお客さんが広場にある自販機でお茶をかって、ベンチに座ってたこ焼きを頬張る姿が多くなってきた。



「っくしゅん!」



可愛いくしゃみ。
日も落ちて、お客さんも居なくなり、片付けを始めたときだった。
何気なくくしゃみがしたほうに目をやった。


あ。


温かいミルクティの缶を両手て抱えて広場を横切っていく女性と目が合う。


彼女は少しビックリしてから、恥ずかしそうにニコリと笑い会釈してくれた。
俺もつられてニコリと笑い会釈した。



可愛いなぁ。



その時はそのしぐさに、ほんのちょっと心がふわっとしただけだった。
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