文章置き場

□遊びが本気に変わる時
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アヴィスに堕とされ、戻って来たらその世界は10年後。
オレが良く知っていたはずの人間は、皆まるで別人のようだった。
10年の時を経てみんな成長しているのに、俺だけが10年前のまま取り残されている。

思えばあの時点から、オレの中で何かが狂い始めていたのかもしれない。

オレは自分という存在が元々望まれていない事を知っていた。
だから戻って来たとき、思ったのだ。

オレは本当にここに居ていいのだろうか。
ここは本当にオレの居場所なのか?

『オレ』は望まれていないのに――?

帰ってきても、家にも戻れない。
存在も明かせない。

いざ存在が明るみになってしまえば、もう
オレはオズ=ベザリウスですらなくなった。

あの日。
ギルは絶対に裏切らないと言ったその口で、
ジャックの名を呼んだ。

きっと、あの時。
あの瞬間にオレは全てを放棄した。

この世に絶対なんて無い。
望んでも手に入らないなら、最初から望まなければいい。
信用など、してはいけない。
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