足の甲:隷属(因幡遥) Written By 佑月



僕は出来損ないだ
まず僕は鑑識能力が他の同輩たちよりも大分劣っている
弥太郎のように銃の扱いが上手いわけでもない
夏輝のように力が強いわけじゃない
聡明さんの血を受け継いでいながら狼男・狼女の中で最速の足を手に入れただけだった

それでも僕を野羅にいれてくださった遥さんには感謝してもしきれないほど感謝しているし尊敬している
遥さんのためならこの命がなくなってもいいとすら思えるほどだ

鑑識能力が低いがゆえに無知である僕は聡明さんから色々な知識をもらってきた
その結果がいまこの行為をさせていると言っても過言ではない

「…何してんの?」

「…僕の誓いの儀式、とでも言いましょうか、」

僕はベッドに腰をかけている遥さんの足元に座り込み足の匂いを嗅いだり舐めたりしている
気持ち悪いんだけど、と言わんばかりの顔は見ていて悲しくはなるが仕方がない

「遥さん、無能な僕は野羅として使える代物ではないかもしれません
ですが、僕があなたのお側にいられるのなら、

あなたの下僕であっても構わない」

そっと足の甲に唇を寄せ、リップ音がなる
遥さんは僕の名前を小さな声でつぶやくと頭をガシッと掴み普段より低い声を出した

「聡明さんかな?お前にこんなこと吹き込んだのは、」

はい、と僕は答えた
遥さんはため息をつき頭を掴んでいたのをやめそのまま僕の頭を撫でた
僕は気持ち良くて少しすり寄った

「お前は何か勘違いしているよ
お前は誰より使えるよ
誰よりも速い足があって誰よりも優れた剣術があって
まぁ、にーにには勝てないけどきっと野羅のなかで一番火力あると思うよ
人狼の誰もが持ってる鑑識能力よりお前だけが持つ足の方が僕は必要だと思ったわけ
無能じゃない、お前は聡明さんより、有能だよ」

セクハラもしないしね、と素っ気なく言うと僕の頭から手を離した

遥さんはすっと立ち上がると僕の方を肩口にみやり、

「少なくとも僕はあいつらよりお前を信用してるよ、」

そういうと部屋から出てしまった
残された僕は少しだけ口元をゆるませて胸の前で手を組んだあと

信じてもいない神に感謝した


わんわんおっU^エ^U



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