NARUTO

□うずまきさんちのナルトくん 07
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*side自来也
顔岩の上にどかりと腰を下ろし、自来也は持参した瓢箪をあおいだ。もちろん中身は酒である。

そこからは木の葉隠れの里を一望することができる。
現在木の葉は自来也の弟子である四代目火影波風ミナトによって治められており、それは自来也にとってとても誇らしいことだった。
弟子が優秀だとなんと気持ちのいいことだろう。
そうしみじみと思ったところで背後から「えっろせんにーん!!」と呼ぶ声が聞こえ自来也は渋面をつくった。
この木の葉の三忍の一角である自来也にそんな不敬な呼び方をするのは一人しかいない。
振り返ると、はたして、金色の髪の眩しい少年が立っていた。

「ひさしぶりだってばよ!」
「ああ。ひさしぶりだのぉ。」

ところでお前さん、その呼び名はなんとかならんか。
そう言ってはみるものの全く気にするふうもなく少年―――うずまきナルトは自来也に抱きついてくる。

まぁ、言っても無駄だろうのぉ
自来也は小さく溜め息をつきながら、しかしナルトを抱き返してやった。






「は?」
「だから、オレってば忍になんてならないってば。」

分厚い文書に目をやりながらさも当然とばかりなナルトの言葉に自来也は暫し呆然とした。
ちなみにナルトが読んでいる文書は古代の文字で書かれたもので取材と呈して各国を往き来する自来也からの手土産だ。木の葉では手に入らないのだとナルトが喚いていたので持ってきてやったのだ。

「………どうして?」
「いや、オレ、将来は考古学者になるし。」
「……………………。」

(……もしかして、わしがこうやって本を届けているからじゃないだろうのぉ。)

万が一そうだったら、あ奴にどう詫びればいいのか。
そう自来也はナルトの父親である弟子を思い浮かべた。

そもそも、ナルトはかの有名な木の葉の黄色い閃光と渦巻き一族の末裔との最強のサラブレッドであることに加え、そんな規格外の父母の間ですくすく育ったせいか、もっと言うならば強者のまわりには強者が集まるために幼い頃から(今でも十分幼いのだが)その強さを見ていたせいか……その強者たちの技を尽く吸収していた。

(いや、これが天才というやつなんだろうのぉ)

父親直伝の瞬身の術で自来也の背後に現れ、母親直伝の赤い鎖の上で悠々と読書をし続ける子どもに自来也は少しだけしょっぱい気持ちになったのであった。









end

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