NARUTO

□うずまきさんちのナルトくん 01
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ゴウゴウと風が吹き、背の高い木々を激しく揺らす。
あと一晩で完全に満ちるであろう小望月の丑三つ時に何処からか低く笑う声が聞こえた。
ここらの森で一際(ひときわ)高い木の頂上をよくよく目を凝らして見ると、その声の主、うちはオビトはそこに居た。
その赤い目を遠い、そして憎むべき故郷に向けて笑う。
明日、人柱力が子を堕(お)とす。
最強の尾獣、九尾の人柱力が。
出産の際には封印が弱まる。
そこを狙おう。
“世界の平和”のために。
くつり、とまたオビトは笑った。






翌日、太陽が傾いた頃、木の葉の里から少し離れた屋敷の中から元気な産声が聞こえた。
その赤子こそ歴代最年少であり、また最強といわれる四代目火影、波風ミナトと九尾の人柱力、うずまきクシナの愛子(あいし)、うずまきナルトであった。



一時弱まりはずれかけた封印はミナトとクシナの尽力により再度堅く結ばれた。
里に帰り元気に笑う夫婦をオビトは遠方から呆然と見つめていた。
髪には少し寝癖がついているように見えた。


昨晩はあまりの興奮で十分に眠れず、白み始めた空を見たのは覚えている。
その後、しかし自分はこくりこくりと理想世界に思いを馳せ、旅立ち、そして―――つい今さっき帰ってきた。

その時には全て終わっていた。
始まる前に終わってしまった。


嗚呼、とオビトはその場に崩れ落ちた。









これはうちはオビトの寝坊により悲劇の起きなかった木の葉の里の物語である。










*備考

オビトくん、遠足前の小学生宜しく夜更かしして寝過ごしてしまいましたww
原因はいい年して厨二な野望を抱いている件と大いに関係しているように思われます。

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