REBORN

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01:
始まりは突然に




それは一瞬のことであった。
ドカン
という爆発音とともに綱吉を煙がおおった。

否、この場合は被弾したとでも言うべきなのだろうか。十年バズーカに。


撃った本人であるランボはポカンと口を開けて固まっている。
その場にいた獄寺とリボーン、スクアーロとザンザスも皆呆然としている………かどうかはともかく、口をつぐんでもうもうとした煙を見つめる。


「うおおおぃ!!沢田綱吉ぃ!!クソガキの弾に当たって死んだかぁっ!!」
その静寂をやぶったのは、言わずもがな、スクアーロだ。
静寂は三十秒ももたなかった。

「不吉なこと言うんじゃねえ!スクアーロ!!今のは十年バズーカと言って―――」
「――カスが。」

ドンッ!!!

ザンザスは言うが早いか『X』のエンブレムのついた拳銃で今だにけぶる煙の真ん中を撃ち抜いた。
レーザー光線並みの弾丸が煌めく。


「じゅ、十代目ぇー!!? てめぇザンザス、何てことを!?」
「はっガキ相手の弾にぶち当たるようなカス野郎、ボンゴレの名折れだ。生きる価値はねぇ―――――――――――っ?!」


突如、ザンザスの視界は暗転した。
気付けば仰向けに押し倒されており、青い空と共に人影がうつる。
その人物――二十代前後の少年に近い青年(少なくともザンザスにはとても自分と同年とは思えなかった)はザンザスに馬乗りになったまま、何事か呪詛めいた言葉を呟いている。俯いていて顔は青年自身の金茶の髪に隠されてうかがえない為、気味悪さに拍車をかけた。


「うおおおい!! 何処からわいて出たぁ!!カス野郎ぉっ!!」
「うっさいスクアーロ!」
「てめえ!!どうして俺の名をぉっ!!?」
「は?何意味わかんないこと言ってんの?カスカスカスカスカス。つか、俺三ヶ月間缶詰状態でしかもここ五日間徹夜だったんだよね。もう俺十分頑張ったっしょ?!ね?!それで、それなのにいきなり反則くさいレーザービーム(笑)ぶっぱなされるし。なにこれ。怒っていいの?あはは。もうさ、俺疲れちゃったよ。そうだ、義兄を殺そう、みたいな。葬式で貰った御香典でゲームを名一杯買おう。これは名案。あはははははははははははは」
「……」


やはり俯いて言う姿にスクアーロは圧倒された。



というか、引いた。

仕事柄、妙な連中と知り合うことも少なくないが(彼は自分はあくまで常識人と思っている)こんなやつは知らない気がする。


顔が隠れていてよく分からないというのを差し引いても、こんなに印象的過ぎる野郎のことは認識出来ない筈はない、………と思う。


語尾が弱くなったのは、誰かを思い出しそうになったから。
誰だろう。その誰かが思い出せない。


金茶の髪は重力に逆らうように逆立っていて、黒いスーツに身を包んでも華奢なのがわかる肢体。(ザンザスの上に)座っているから明確には分からないが、小柄であることはうかがえた。



「チャオッス。お前ツナか?」
「だからさっきから何当たり前のこと言って………………………………………あれ、……………………リボーンなんでちっさいの?」

顔があがり大きな琥珀色の瞳が揺らめいた。

「十年経っても相変わらずのダメツナだな。過去に来てるのに気付かなかったのか」
「……………………………………」



青年―――綱吉はおそるおそるザンザスの顔を覗きこんだ。

「……っ!!」


綱吉はさぁと顔を青くしてザンザスから飛び退く。
何事か、そういえば少し若い??などと呟いた。

そして、
皆が唖然とする中、綱吉は回れ右して



「すいませんでしたー!!!この事はどーか忘れてくださーい!!!」


と叫びながら逃走した。



「あ゛ぁ!?まちやがれぇ」
「待ってください!!十代目ぇー!!」


いち早く正気を取り戻したスクアーロと獄寺がその後を追いかけるが、時すでに遅し。


未来の綱吉はなかなかどうして、すばしっこい性質らしく、見失った後だった。

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