NARUTO
□うずまきさんちのナルトくん 05
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俺とナルトは母さん同士が仲がいいのもあって赤ん坊のころから家族ぐるみの付き合いだから、奴の親父があの四代目火影だとは知っている。
名字が違うのは怨みを買うことが多い職業柄、家族に迷惑をかけないようにという四代目の意思らしいが同居してるのであまり意味をなしていないんじゃないかと思うが、俺がとやかく言うことでもないのだろう。
ナルトはというと、父親が四代目火影だということが露見するのを極端に避けている。なんでも将来的に忍の職に就くつもりはないから妙なしがらみができないようにだそうだ。
じゃあなんでここにいるのか甚だ疑問だし、奴は普段は馬鹿の体を装っているがその実下手な中忍くらいなら瞬殺できるんじゃないかという実力者なので父がどうこうというのは既に些末な問題なのだがウスラトンカチは頑としてそれを認めない。
いわゆる現実逃避というやつだ。
さておき、そんなわけでナルトは人前でのミナトさんとの接触を嫌っているがミナトさんはミナトさんでなかなかどうして人の話を聞かない人なのでそんな息子の文句も物ともせず、ちょくちょく何かにつけてナルトにちょっかいをかける。
そう、今のように―――。
ミナトさんの片手に抱えられたナルトは心なしか青ざめながら四代目火影お目付け役たるカカシを睨んだがかの抜けたような笑顔を返されるだけで打開策と呼べるようなものはとても考え付いてはいないようだった。
そんな息子の様子に気付いていながらオールスルーするしてにこにこ笑うミナトさんは大した狸だ。
常時のナルトも人の思惑を悉くとは言わないまでも九割がた無視するタイプの人間なので、なるほど蛙の子はおたまじゃくしだけどやっぱり蛙なのだろうな。
「いけないぞ、ナルト。イルカ先生の授業を放棄するなんて。」
「うっせー!!お前なんでこんなとこにいるんだってばよ!?仕事は!?」
「アカデミーの視察も立派な職務なんだよ。」
「んなの本当の本当に暇なときにやれ!!百年後くらいに!!」
俺から言わせればいつもの親子喧嘩というかナルトが遊ばれてる感のある口論はしかしこの教室内ではかなり珍しいものだろう。
学年一のドベが歴代最強の火影と親しげにしているのだから。
そんなみんなの疑問を一身に背負ったのは、流石と言うべきか、イルカだった。
「…………あ、あのー……火影様はナルトとお知り合いだったのですか。」
そのイルカの問いにミナトさんは目をぱちくりさせた。
そしてなにごとか、恐らく「おかしいなぁ、結構そっくりだと思うんだけどなぁ。」などと呟いたあとにこりと微笑む。
「おやこ―――」
「前に親子丼ラーメン奢ってもらったんだってばよ!!!」
なんとかミナトさんの暴走によるカミングアウトは避けたものの、それはキツくないか?
なんだよ。親子丼ラーメンって。どっちかにしろよ。ウスラトンカチめ。
俺の呆れた視線に気付いたナルトは、き、と俺を睨み付けた。
「うるせー!!仕方ねーだろ!!つか助けてー!!」
無理だろ。
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