BLEACH夢(long)

□君を守る一閃2
2ページ/3ページ

BLEACH 長編

 意識が少しずつ起きはじめているのを感じながら、うとうととしていると、携帯電話のバイブがなるのを感じた。

(…ん、もう朝か…。)

 携帯を見ると、時計は午前6時を指している。昨日、空座第一高校の生徒手帳を見て、登校時間を調べたところ、朝の8時半だった。登校時間は…、1時間とるとしよう。それだけあれば迷わないでしょ。準備もゆっくりできるし。

『…はぁ。何か、ものっすごい新鮮な感じ。起きただけやのにね。よし、準備しますかぁ。』

 私は朝ご飯を食べ、洗顔、歯磨き、軽く掃除をして、制服に着替えた。
 何か、私に似合わない気がするぜ☆この制服…。なんだか、コスプレしてる気分だ。

『まぁ、これを私の生きてた世界で着たらばコスプレになるけども、この世界でなら、ならないんだし…。よしとしよう。』

 現在時刻、7時半。よし、計画通りです。で、最後に滅却師の証である、滅却師十字をつけて…、と。

『よし、出かけますか!』

 カバンを持って、ドアを出た。ドアを閉め、鍵をかけ、家を後にしようと背を向けた瞬間、後ろからドアが開き、閉まる音が。驚いて振り向いてみると、そこには雨竜君がいた。

『あ、えっと…、雨竜、君。』
「あ、鈴原さん…。って、鈴原さん、うちの生徒だったの!?」

 アニメよろしく、ギャグ顔になりながら私に聞いてくる雨竜君。

『えっと…、今日から、空座第一高校の生徒になったの。』
「一人暮らしをしているのかい?」
『うん。まぁ、色々と諸事情がありまして…。』
「そうか。…僕もなんだよ。」
『あ、雨竜君も一人暮らししてるんだ。』
「あぁ。…今日が学校初日ってことなら、また学校への道もわからないんじゃないのかい?」
『あは…、そう。地図はあるんだけど、迷うといけんから、時間に余裕をもって、と思って早めに出てきたの。』
「じゃあ、…その、学校まで、案内…、しようか?///」
『え、いいの?』
「あ、あぁ…///」

 雨竜君、顔真っ赤。耳まで赤くなりかけてますよ、ゆでだこになっちゃいますよ。

『じゃあ、お願いします!』
「じゃ、じゃあ、行こうか!///」

 雨竜君はさっさと階段を下りて行ってしまった。後を追うように雨竜君についていく。

『ここから学校までは、すぐなん?』
「徒歩で10分くらい…、かな。そこまで遠くないよ。」
『なるほど…。』
「昨日から気になってたんだけど、君、特徴的な訛り方しているよね。」
『あれ、わかった?』
「あぁ、イントネーションが、ここでは聞きなれないものばかりだったから。」
『そっか…、出てしまうものなんですねぇ。お国の言葉って。』
「君は、どこから引っ越してきたの?」
『えっと…、西のほうかな。』

 どこからと言われても;私の住んでた県の名前、通じるのか。というより、この世界は都道府県制なのか!?わかんないので、とりあえず方角だけ。

「西…、そうか。」

 それ以上教えてくれそうにないと思ったのか、アバウトに理解したようですね。さすが、頭いいから回転が速い。道中、色んな話をしながら、この土地について情報を得た。スーパーは、あのアパートからすぐ近くにあること、手芸店もその近くにあるということ、病院ならスーパーの近くか、クロサキ医院があるということ。…クロサキ医院って、何か聞いたことあるな。一護さんの家族がやってる病院だったような?
 そうこうしていると、学校に着いた。まだ登校完了時間まで時間があるからか、朝練している部活動しか見えず、他に登校している生徒は見えなかった。

『あ、じゃあ私はここで。校長室に行かないと。』
「そうか。」
『色々とありがとう。また、何かあったらお願いします。』
「いつでもどうぞ。じゃあ///」
『うん。じゃあね!』

 軽く会釈して、校長室へ向かった。


(雨竜side)
鈴原…、彩萌さん。
 彼女について、昨日から気にかかっていることがある。それは、彼女から発せられているわずかな霊力と、右手首についていた、ピンク色のブレスレット…。見間違いでなければ、あれは滅却師十字…。滅却師の生き残りは、僕一人だと思っていたんだが…。

(もしかしたら、彼女も…?)

 彼女からは、霊力を隠そうとする気配は感じられなかった。その代わりに、彼女の霊力は何か他の力が加わって隠されているようだった。その他の力、というのはよくわからないけれど…。

(僕の他に生き残りがいたからって、僕に関係はない。彼女が死神に恨みを抱いているかと言えば、そうは言いきれない。僕と同じ境遇にあるとは限らないのだから。)

 だけど…、同じ種族がいる、とわかっただけで、こんなにも親近感がわくものなのか。彼女と会った瞬間だって、初めて会った気がしなかった。
 彼女は、どのクラスに配属されるのだろう。他のクラスに配属されるとしたって、住んでる方向は一緒だ。何かと接点はあるだろう。そうであれば、彼女の事も少しずつわかっていくだろう。
 …それにしても、この親近感は、同じ滅却師であることからくるものなのだろうか。何か、違うものから来ているような…?ふと、彼女の姿が思い浮かんだ。

(…ぼ、僕が…?///いや、そうじゃない…、とも言い切れない、でも…。)

 顔が、熱い。
 顔に上る熱を必死に抑えようとしている間に、1−Cの教室に着いていた。教室には、まだ数人のクラスメイトしかいない。あまり接点のない人間ばかりだ。僕は席に着き、本を開いた。昨日から読み始めている、一冊の小説。昨日で約3分の1は読み終えた。しかし、この小説は伏線が多い。その分、謎は深まって面白いのだが、テスト期間中で勉強の息抜きに読もうと思えるような簡単な本ではなかった。それに…。

(…彼女は、今、どうしてるんだろうか。)

 そんな考えが頭をもたげ、あまり集中して本を読めていない。伏線を読み落としてしまいそうだ。そうこう考えていたら、気が付いた時にはクラスメイトは大方集まっていて、HRが始まろうとしていた。僕は読書を諦め、教師が来るのを待った。チャイムが鳴り、担任を待つクラスメイト。教師たちが、それぞれの担当クラスに入って行く。…すると。

(…!廊下から、霊力を感じる…。しかも、二つ…?)

 確かに、霊力は二つ。一つは…、鈴原さんの霊力。しかももう一つは、僕が最も恨んでいる者の霊力。すなわち、死神…。

(だんだん、近づいている…。!!)

 二つの霊力は、1−Cの前で止まった。担任が扉を開け、入ってくると後ろに女子が二人連なって入ってきた。

「はい、朝のHR始めまーす。ごうれーい。」
「「「おはようございます!」」」
「おはよう。今日は連絡の前に、転入生の紹介をするわ。じゃあ、朽木さんから!」

 朽木…、死神の霊力をわずかながら放っている。だが、弱弱しい…。何があったのかは知らないが、今の彼女には死神としての能力はほとんどない。

「く、朽木、ルキアと申します。よろしくお願いしますわ。」

 朽木ルキアと名乗った女子は、どこぞのお嬢様のようにお辞儀をし、ぎこちない挨拶をした。そうか、現世に慣れていない、ということか。

「じゃあ、次。鈴原さん!」
『あ、はい!す、鈴原彩萌と言います。ここに、越してきたばかりなので、何にもわからないので、また色々教えてください。』
「今日から、この1−Cの仲間になるわけだから、困ってたらいろいろ助けてあげるんだよ!じゃあ、朽木さんは黒崎…、って黒崎来てないね;あの空いてる席の隣に席が空いてるでしょう?そこに座って。鈴原さんは、窓際から数えて2列目、前から三番目の席。」

 二人は指示された席に座る。気のせいだろうか、鈴原さんが僕と目があった瞬間、少し微笑みかけたように見えた。
 こんな偶然、あるんだろうか。昨日は道に迷っていた彼女を助け、住所も同じ。部屋は隣同士。同じ高校に通い、クラスメイト。

(師匠が、引き合わせてくれたのだろうか…。)

 彼女との出会いは、そう思わずにはいられなかった。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ