BLEACH夢(long)

□君を守る一閃4
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BLEACH長編

 雨竜君に、私が滅却師だということを教えてから、私は修行にこもる回数が多くなった。

(もとは、『滅却師』やなかったわけやしね…。)
《…仕方がなかろう。お前が石田雨竜に、『自分は異世界から来て、ここにきて初めて滅却師になった』と説明したところで、信用してもらえるわけがない。》
『花蓮…、あんたいつの間におったん?』
《お前が修行している時からずっとだ。…随分と成長しているようではないか。霊子の扱いも、大分上手くなった。》
『…そう?最近は、虚退治にも行くようになったからね。』
《…前々回は、虚に動きを封じられて間一髪の状況だったが、まぁよかろう。》

 …あぁ、そんなこともあったわね;ってか、見てたんなら助けなさい、花蓮…。

《…何か言ったか。》
『言ってませーん。それより聞いて。最近ね、何かどれだけ力強く打っても、物足りない気がするの。前までは、思いっきり金具引いて、矢を放ったら【力、使い切ったっ!】ってなれてたのに、最近は全然。これって、どういうことなんやろ?』
《簡単だ。今以上に、力を込められる技を出せばよい。》
『技ときたか…。』
《そういうものは、直感だ。自分が打ちたい技をイメージして、そのイメージを構築する。構築したら、あとはそのイメージを解き放つのみだ。》
『なるほど…。やってみるか。』
(どんな技がいいだろう…。…大量の敵が来たら、どうやって応戦したらいい?どうやって、雨竜君を守ったらいい?力を、四方に分散させる…。一回の攻撃で、力を分散…。)

 私は、一つのイメージを一心不乱に構築させた。…イメージが構築しつつあると感じた瞬間、私の手は自ずと動き、思いっきり弓を引いた。

『…連刺弓!!!』

 私の放った矢は四方に飛び、風に舞っていた葉を的確に捕えた。矢のあたった葉は全て、塵となって散った。

《ほう、やるではないか。》
『これで、もっと威力があればいいかもしれないね。それは、修行で積み重ねてくかな。』
《あぁ、どんどん積み重ねて、強くなるがいい。お前も、このままでは先を生きられないとわかっておるはずだからな。》
『えぇ、重々承知しておりますよ。』

 そう、どんどん積み重ねて、強くなる。私にとって、大切な人…、雨竜君を、守るために。

(そろそろ…、こやつにも、強い刺激が必要かもしれぬな。)
《彩萌よ。私の考えた訓練をしてみぬか?》
『花蓮が考えた、訓練?』
《あぁ。しばらく考えておった。お前の成長ぶりは、黒崎にも劣らん。あやつも短期間で大きく成長し続けているが、お前もかなりの成長を見せた。そろそろ、潮時かと思うてな。》
『へー、何かいろいろ考えてくれてたんや。やってみようかな。』
《ただし。一つ条件がある。…重傷を負う覚悟はあるか?》
『は!?訓練で重傷!?そんなん、次の日私の体が使い物にならんくなるやないか!』
《訓練とはそういうものだ。今まで、お前は動かぬものばかり相手に訓練しておった。今のお前の実力では、もう訓練にはならなくなっておるのだ。お前はまだ経験が足りぬ。たくさん、経験を積んだ方がよい。》
『…わかった。お遊びじゃないってことね。』
《そういうことだ。…では、訓練、開始!》

 花蓮は、両手を空高く掲げ、何かを呼び出した。…数十体の、虚だった。最初は、何を呼び出してるんだこのバカ精霊、と思ったが、もっと信じられなかったのは…、

『う、雨竜、君…?』

 滅却師十字も持たず、丸腰の雨竜君がいつの間にかそばにいた。その雨竜君を殺そうとする、数十体の虚。…なるほど、そういうことか。

『花蓮!本当、あんたも性質悪いわ!ってか、黒崎君とか来たらどうするの!?』
《これは、私が生み出した偽の虚だ。だが、実力はそれ相応。その雨竜も本物ではないが、この世界に住んでおる雨竜と連動しておる。そやつがけがを負えば、もう一人の雨竜も傷つくこととなる。さぁ、最後まで守り切ってみせろ!》
『…やるよ、やるしかないやん。』

 後ろを振り向くと、雨竜君はまるで別人のように、虚に怯えていた。

(こんな雨竜君、見たことないっちゅうの。性格まで変えたな、あのバカ精霊…)

『雨竜君、大丈夫?』
「…な、何なんだ、あいつらは…!」
『大丈夫、私が守るから!』

 私は、雨竜君を背後に隠し、虚数十体に立ち向かっていった。
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