BLEACH夢(long)

□君を守る一閃3
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BLEACH長編
(雨竜視点)

(…話しかける、隙がない…。)

 僕は、鈴原さんに話しかけるタイミングを見計らっているのだが、転入生とあってか、周りのクラスメイトが彼女に寄って行ってしまい、話しかける隙がなかった。

「彩萌ちゃん、彩萌ちゃんの得意技って何?」
「織姫、あんたいきなり何聞いてんのさ。ごめんねぇ、彩萌。この子、こういう子なんだ;」
「何言ってるの、たつきちゃん!得意技って大事だよ!ね、彩萌ちゃん!」
『そ、そうやなぁ…。得意技はないけど、特技ならあるよ!』
「それを得意技っていうんだよ!なになに?」
『手芸と、ピアノかな!』
「すごーい!ピアノ弾けるんだ!」
『音楽好きなんよ。』
「今思ったんだけどさ、彩萌って変わった訛り方してるよねぇ。」
『やっぱり、変かな;』
「そんなことないよ!何か、同じ言葉喋ってるのに、新鮮な感じがしたからさ。ごめんね、誤解させたね。」
『い、いやいや!全然大丈夫!』
「彩萌…、あなた、本当に可愛いわ!今度、私の家に…」
「こらぁ!千鶴!転校生相手に、下手な発言するのやめろっ!!」

 鈴原さんに話しかけているのは、井上さんと、有沢さん、本匠さんか…。女子が群がると、話しかけるタイミングなんてないだろうな…。ちなみに今僕は、本を読むふりをして鈴原さんの方に神経を集中させている。…変人だとか、思わないでほしい。僕は今、鈴原さんに対する疑問を晴らしたくて仕方ないんだ。

 だけど…、今は、諦めるしかなさそうだ。

(彩萌視点)
(な、何か、元気だなみんな…。)

織姫ちゃんも、たつきちゃんも、…千鶴ちゃんも、転校生の私に、積極的に話しかけてくれた。…一度死んだ身とはいえ、この世界では私は「生きている」。クラスになじめるかどうか、という不安も少なからずあった私には、この境遇はありがたかった。

「そういや、遅いね、一護!」
「え?」
「織姫、今一護のこと考えてたんでしょ?」
「ち、違うよ!」
『え、織姫ちゃん、好きな人いるの?』
「そうそう、黒崎一護っていうね…」
「た、たつきちゃん!!///」
「にしてもさ、織姫。あんた一体、あれのどこがいいの?無愛想だし、髪は変な色だし、ガキだし、短気だし…。正直、あんたみたいな巨乳美人だったら、もっと上を…。」

 えらい言われようだ、黒崎君…;確かに、無愛想っちゃ、無愛想…?でも、アニメの事も知ってるからか、そんな無愛想っていう印象もないんだけども;織姫ちゃんは、たつきちゃんの問いに即答で。

「面白いところ!」

 マジですか。たつきちゃんも「へ?」の一言だ。

「あたしはあの、いつもしかめっつらしている、黒崎君の顔を思い浮かべるだけで…、ブプーーーっ!!最高!」
「そ、そうかなぁ…。」
『すごい笑ってる…。』
「今日、休みかもしんないよ、一護。」

 そう言うのは、クラスメイトの小島水色君。

『休み?』
「どういうこと?そういや小島、いつも一護と一緒に来てるよね。」
「うん、今朝も寄ったんだけど、家にでっかい穴が開いててさ。何か夜中にトラックに突っ込まれたって言ってた。」

 と、トラック…。相当な事故現場が想像できる。

「トラックぅ!?じゃあ、何、あいつ怪我したの!?それとも、死ん…」
「でねぇよ。」

 …突然、後ろから低い声。黒崎君だ。

「うちの連中は全員無傷だ。残念だったな。…ん?お前…。」

 黒崎君は、私の方を見て不思議そうな顔をしてる。お前って…?私のことでしょうか?;まぁ、私のこと見てるんだから、私の事なんだろうね。

『あ、今日から転校してきた、鈴原彩萌っていいます。』
「転校生か、珍しいな、こんな時期に。俺は黒崎一護だ。」
「あ、僕も自己紹介してなかったね。僕は、小島水色。よろしくね!」
『よ、よろしくです!』
「一護、来たんだね。家の修理、手伝ってたの。」
「まぁな。」
『大変やったなぁ…。』
「まぁ、家族全員けがしてねぇからな…、それだけでもよかったぜ。」
「…片付け、手伝おうか。」

 こ、この低い声…。後ろにものすごい巨大な気配を感じて、ふっと振り向くと…、ものすごい大きい男子生徒が立っていた。そう、茶渡泰虎君。

「い、いや、いいよ…。」
『え、えーと…。』
「…ん?あぁ、転校生の一人か。俺は、茶渡泰虎。」
『鈴原彩萌って言います、よろしくね、茶渡君。』

 危ない、危ない…。振り向いた瞬間、思わず、茶渡君と呼びそうになった;しかし、本当…、高校生とは思えないくらい大きいな;

「次の授業、なんだっけ?」
「現国だよ。」
「黒崎君。」

 その声の方を向くと、立っていたのは、朽木さんだった。顔色が変わる黒崎君…。わかりやすっ!

「隣の席になりましたぁ。朽木と申します。」
「あ、今日から転入してきた、朽木さん。」
「ああぁーーーー!おまえぇっ!!」
「一護、知り合い?」
「まさかー、初対面です。お隣同士、よろしくお願いしますわぁ。」

 朽木さんはそう言って手を差し出す。握手のつもりなのだろうけど、その手のひらには…。
‘騒いだら殺す’
 …!!Σ( ̄□ ̄;)
 見ちゃった、見ちゃった…!やばい、本当怖いなぁ。…他の人は気付いていないみたいだけど。黒崎君は、朽木さんを拉致して、どこかへ去ってしまった。

 午後の授業も終わって、下校時間。帰りは、織姫ちゃんと帰った。たつきちゃんとも帰りたかったんだけども、たつきちゃんは部活があるということで…。インターハイ行けるくらいの実力の持ち主だもんね。また今度、かな。

「じゃあ、彩萌ちゃん。また明日ね!」
『うん!バイバイ、織姫ちゃん!』
「バイバーイ!」

 元気に去っていく織姫ちゃんを見送り、私はアパートの階段を上った。
 登り切った先に、一人の影。…雨竜君だった。
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