BLEACH夢(long)

□君を守る一閃2
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BLEACH長編

『本当にもう…。どこやねん、ここ;』

 私は、小さな紙切れ片手に、(ついでに重たい荷物とともに)訳も分からず道を歩いていた。まだ日は高いが、もう少しで夕焼けに変わりそうな空だ。何とか、日が落ちるまでに探さんことには…;

『花蓮もひどいわ。私に案内もせんと、勝手に消えて…。ってか、荷物、重っ…、っわあぁっ!』

 荷物に気を取られていたせいか、思いっきり…、すっころんだ。

『痛た…。』
「君、大丈…」
『って、あほか、私!私までドジっこキャラになってどうすんねん!』
「えぇ!?」
『って、えぇえ!?』

 び、び、びっくりした、というか、人いたのか。てか、突っ込み聞かれたぁ!私の独り言って、なんでこんなに災いを招くかね;…というか、というか、私の目の前におる人って…!(落着け;)

『・・・・・。』
「え、えっと…、大丈夫、ですか?」
『…え!あ、はい!特に、問題ないです!///』

恥ずかしさから、頭がマヒして何言ってるのかわからない;私の顔、今真っ赤でしょうね…。って、あれ?

「そ、そうですか?…立てますか?///」

 そう言って、顔が真っ赤になりながら手を差し伸べてくる人。…まぎれもなく、石田雨竜。その人だった。でも、なぜ雨竜さんが真っ赤に…?

『あ、はい!ありがとうございます///』
「すごい荷物ですね。…!?」

 雨竜は、私の手首を見て固まっていた。…しまった!ブレスレットつけたままやった!私はとっさに、ブレスレットを隠した。

『あ、そ、その、ありがとうございました。あ、あの、教えてほしいことがあるんですけど…。』
「…あ、あぁ。何ですか?」
『この住所が、どこかわからなくって…。教えてもらえませんか?』
「ここは、僕の住んでるアパートと同じですね。あ、じゃああなたが。」
『へ?』
「あぁ、いや、数日前に引っ越し屋が来て、色々荷物を運びこんでいたので、誰か越してくるんだと思っていたんです。」
『あ、あぁ、そうなんですよ!;荷物だけ先に送ったんです。』
「そうだったんですか。…あ、案内しますよ///」
『あ、ありがとうございます!』
「…荷物、持ちましょう///」
『え、いいですよ、悪いですから…。』
「貸してください。」

 雨竜は私の手から荷物を取り上げて、さっさと歩いて行った。って、待ってよ!あれ、雨竜ってこんな強引でしたっけか?
 追いついた私は、雨竜の横に並ぶ。ふと雨竜を見上げてみた。そこで、改めて実感する。

(…やっぱり、違う世界に来たんだ。えらく大規模なお引越し。…異世界にいるんだもんね。)
「…!…どうかされました?///」
『あ!え、いや、何にもないです。すみません;』
「いっ、いえ///」
『あ、これから同じアパートに住むことになるんですよね!私、鈴原彩萌っていいます。年は15です!よろしくお願いします。』

 そういうと、雨竜君は呆気にとられた顔をしていた。…何か、おかしいこと言ったかな?;

「…君、僕と同期なんだね。年上かと思ったよ。」
『そ、そうですか?;』

 いや、あんたも十分15に見えないからね…?

「僕は、石田雨竜。同級生なら、敬語なんて使わなくていいよ。これからよろしく。」
『あ!ど、同級生なんだ。よろしく。また、色々と教えてもらえる?』
「いいよ、僕でよければ///」

 そんな話をしていると、アパートが見えてきた。

「あそこだよ。」
『はぁ、よかった、やっとたどり着けた!ありがとう。助かった。』
「一応教えておくと、僕の部屋、鈴原さんの隣だから、困ったときはいつでもどうぞ。」
『あ、そうなんだ!これから、よろしくです!』
「…こちらこそ///」

 そんなこんなで部屋の前に到着。

「お疲れ様。今日はゆっくり休んで。」
『ありがとう。じゃあ、また。』

 鍵を開けて、部屋の中に入った。とりあえず、だ。花蓮がいたら、叫んでやりたいことが山ほど…。まず。

(なんで雨竜と同じアパートで、隣同士の部屋!?楽しいよ、楽しいけどさ!…花蓮の陰謀、恐るべし…。)

 まず、それだった。いや、生前、BLEACHのキャラの中で一番好きだったのは石田雨竜なのだけども…。隣に、あの大好きな石田雨竜がいると思うと…。

(緊張して、生活なんかしていられるかああぁああぁ!!!)

 叫びそうになるくらいに、心の中で叫んだ。だけども、もう花蓮が手配してしまったわけだし、引っ越すわけにもいかない。そう思いながら、玄関でorz状態になっていたら。

「遅かったのう。たどり着くまでに。」
『!?花蓮!?』

 そう、部屋には花蓮の姿が。しかも、ソファの上にどかっと座って、優雅にお茶を飲んでいる。

「全く、待ちくたびれたぞ。どれだけ私を待たせれば気が…」
『ふざけんな、あほ精霊っ!!!』
「ぐはっ!」

 私は、怒りで我を忘れ、花蓮を一発殴った。どうでもいいことだけども、精霊が殴られて「ぐはっ!」はないでしょ、ぐはっは。

『あんたのせいで、どれだけ路頭に迷ったと思ってんの!たまたま、雨竜君に会えたからよかったものの…。はっ!思い出した!あんた、とんでもない設定にしてくれたな、本当に!』
「よ、よかったでは、ないか…。石田雨竜に会うことができ、案内までしてもらえて…。それに、お前、そんな大声を出していいと思っておるのか?私は、他の人間には姿が見えぬから構わぬが、今、他人なぞが入ってきた日には、お前はたちまち、壁に向かって怒鳴り散らしている変人と化してしまうぞ?」
『…!!…何で、こんな設定にしたんさ。なんで隣が、雨竜君なのさ。』
「その方が、都合がよかろう。お前かて、悪い思いはしないはず。まぁ、落ち着かないことはあるだろうが…。」
『そう、それなんよ。落ち着けるわけないでしょうが。隣で、あの人が生活しとるって思ったら…。』
「だが、その方が都合がいいことは確か。学校へ行く時の道や、帰り道など、お前が忘れてしまった時には教えてもらえるだろう?私かて、お前が困っている時にいつでも出てきてやることはできんのだよ。」
『…なるほどね。』

 とりあえず、殴り倒してしまった花蓮を起こしてやる。(全く、精霊の私を殴り倒すとは…。By 花蓮)

『で、本題に戻るけど、なんでここに?』
「そう、今回ここに来たのは、先刻渡し忘れたものを持ってきたのだよ。この箱なのだが。」

 花蓮は、私に白い箱を差し出した。ブレスレットが入っていた箱より、大分大きめの箱。重さは…、ものっすごい軽い。

『何が入ってんのさ?』
「それは、まだ言えん。その時になったら、何らかの形で教えてやろう。」
『え、そういうの、一番苦手なんですけど…?私、鈍感なんだよね。』
「案ずるな、私の合図に気付かなかった者はおらん。」
『私が気付かんかった第一号だったらどうすんのさ。』
「私は、生前のお前の事をよく知っている。そこまでお前は鈍感ではない。」
『…そう。ならいいんだけど?で、用件はそれだけ?』
「いや、後学校への地図を持ってきてやった。教えてやるのを忘れていたと思ってな。」
『…地図あっても迷うんだっての。まぁ頑張ってみるけども…。』
「いざとなれば、石田雨竜を頼ればよい。では、私はこれで失敬する。…頑張るのだぞ、彩萌。」
『はいはい。ありがとね、わざわざ。』

 花蓮は、ふっと微笑んで消えるように去って行った。

(ああいう場面見ると、精霊っぽく見えるんだけどね…。)

 私は、とりあえずソファに寝転んだ。ふうっと息を吐く。

(今日から、私だけの生活が始まるんや。まぁ、一通りできるからいいんだけどね。知らない、わかんないで雨竜君を困らせるんじゃなくて、ちゃんと慣れていかんと…。)
『よし!』

 私は気合を入れて、服の整理や夕飯の準備をし、明日へ備えることとした。
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