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□放課後、あの場所で
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校門をでたらいつもは左に曲がる。

でも今日は、


「こっちこっち」

と、恋人に右へと誘導された。


「なんでー?」

「なんででしょー」

「教えてくれないの?」

「教えてあげないのー」



なんて馬鹿なやり取りをしながら、
取り敢えず翔ちゃんの進む方向に合わせる。



ていうか「なんとなく」じゃないのかよ!



翔ちゃんのことだから、きっとすごく良いものをみせてくれるんだろう。


でも、
翔ちゃんのことだから、とんでもなくつまらないものの可能性だってある。




…櫻井翔って人は、実に紙一重なのである。



「ねーねー帰り道わかるの?」

「それくらい分かるよ!」

紙一重なその人は、あははと笑って、住宅街にその声を響かせた。


「だって、さっきから滅茶苦茶に歩いてるじゃん」

「これが滅茶苦茶じゃないんだなあ」


……? と首を傾げる俺。


校門を出てから、閑静な住宅街を右に左とうねうねさ迷っていたのに、
それに意味があるの?


翔ちゃんは、鼻歌まで披露しながらご機嫌に、また家の角を曲がった。




…ちょっと期待してみてもいいのかもしれない。
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