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□nightmare―N
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夢を見た。
「おはよ、翔ちゃん」
「…ん」
「今日遅かったね起きるの」
「…うん」
翔ちゃんが、離れていく夢。
「なに、変な夢でも見たの?」
俺と一緒だね。
「んふふっ、俺の夢?」
翔ちゃんは何も答えない。
ああそうなんだと思って、俺は抱きしめ返す。
この温もりを、ほかの人が知るくらいなら、
翔ちゃんを殺してしまいたい。
二度と誰も触れないよう、喋れないよう、
血まみれにさせて守りたい。
「翔ちゃん好きよ」
だからどこにも行かないで。
「俺も…愛してるよ」
ならどこにも行かないよね?
翔ちゃんは俺をみる。
そして、笑う。
ほかの人を見ないで。
俺だけを好きでいて。
そんな俺の願いは、翔ちゃんと混ざり合って溶けた。