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□warp
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今日は、テレビ局で和と待ち合わせ。
しかし時計を見てみれば、約束の時間より十分くらい遅れていた。


急ぎ足で廊下の角を曲がる。

すると。



「違います…って! 離してください!」

「じゃあ君はなにしてるの?」

「人を待ってるんですってば! 離せバカ!」





和?




和と知らない男がしゃべっていて、
その男は、俺の存在に気づくと慌てて去っていった。




「っあ、翔ちゃん!」
「今の、誰?」
「知らない、」
「知らないわけないじゃん?」



廊下に置かれた花瓶。



「本当に知らないんだってば! …信じてっ!」

「ねえ、そんな嘘信じると思う?」


俺の言葉に、和はビクリと肩を震わせた。
……あぁ、やっぱり嘘なんだ?




俺は花瓶を持つ。




「翔ちゃ「―――――――――――」



「和は俺以外の人とそんな親しくなってたんだ。
 これって浮気って言うんだよ、そう浮気。
 まさかお前が俺を裏切るなんてね。
 愛してるって言ってくれたよね?
 あれはなんだったの? 嘘?
 じゃあ俺はまんまと騙されてたんだ。
 本当にお前は悪い子だね」



和からの返事はなかった。

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