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□恋愛boost!
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「ニノちゃん! ほらもう少しで翔ちゃん来るんじゃない!?」
「ほらニノ、前髪ボサボサじゃん」
「…頑張ってね!」
「もう!! 俺をからかわないでください!」
和は、そう叫びながら、
自分の前髪を整えてくれている潤の手を振り払った。
「からかってるんじゃないって! …あっ来たみたい!」
雅紀、潤、智の三人は、
ニヤニヤしながら、楽屋のソファに並んで座った。
「はよー、ごめんちょっと遅れちゃった」
現れたのは、翔。
和は、部屋のド真ん中で立ちすくみ、顔を赤色に変色させる。
「お…はよ」
「和くんどうしたの? 座らないの?
…っておまえらがソファ占領してんのかよ!!」
「いっ、いいから翔ちゃん! 気にしないで?」
「そう? あいつら最近ずっとくっついてるよね」
そう言って翔は、地べたに腰を下ろし新聞を広げる。
「……っ!」和は、真っ赤な顔で、危なっかしくフラフラと、
翔の隣に、ぺたりと座り込んだ。
しかしこれといって二人とも話すこともなく、
そのまま時間は過ぎていった。
***
スタジオに行くまでの廊下には人気はなく、
歩いているのは五人だけだった。
「ねーねー見てた!?
挨拶もできたしー、それに隣に座っちゃった!」
和はあどけない笑顔で、
雅紀にまるで自慢話をするように語る。
しかしその後ろで潤が、軽くため息をつく。
「それくらいのことで喜んでちゃダメでしょ…。
もっとアタックしなきゃ」
「え……」
「そうだよぉニノー。
なにか今ので収穫あったの?」
智のその言葉に、和は少し思案し、
「新聞読んでる姿見れた!!」と。
「「「それだけ!!??」」」
「それだけって何!?」
「翔さんなんていっつも新聞読んでんじゃん」
「……そうだけど…」
「ちょっとそこの四人さん!
早く歩いてくださいよ!」
翔の声に反応して、お節介な三人が、
和の背中を押す。
「ほらっニノちゃん手ぇつないできな!!」
「難易度高いな!!」