桔梗の間

□理由。
1ページ/4ページ

へぇ、こりゃすげぇ。

藍州州牧として藍家の宴会の呼ばれた俺の第一声はそれだった。
まさにこの世の贅を尽くした食事、装飾、楽……
旺季に引っ張られて色々なとこにいったが、ここまでのはいまだに見たことがなかった。
しかもそんな田舎もン(本当なら“田舎”は藍州の筈だが)全開な俺を馬鹿にすることなく使用人たちは丁寧に案内までしてくれる。

(「むしろ人間としてできてないのは奴らの方か」)
先程からこちらを窺い、時折蔑むように笑うズラ(推定)男を軽く睨み付ける。途端慌てて顔を背けたのは滑稽だった。

貴族どもはいつだってそうだ。
自らはなんの力もないのに、他人を見下して自分は高貴だと思って疑わない。
旺季のような本当に高位の貴族はそんな態度は取らない。

少し苛立ちを感じたとき、今度は別の一団から嫌な笑いが聞こえて来た。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ