竜胆の花冠
□主人公設定など。
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「嫁にして頂きとうございます」
目の前の少女の口から出た突拍子のない言葉に皇毅と晏樹は顔を見合わせた。
でふぉると:晨麗燐)
秀麗より2こ下。
やや感情表現が乏しくまた特殊な育ち方のせいで少しずれている。
基本的に生活能力に乏しかったが、嫁いでからは日々“女子力?"なるものの向上につとめ、采にも挑戦。
「旦那様にいかにして据え膳を食していただけるか目下挑戦中です」
「おじょーさん…、据え膳ってどんな意味か知ってる?」
「さぁ、よくはわかりませんが……。旦那様のご友人がよく言っておりました」
「……」
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「お姫さまは何で皇毅がいいの?皇毅は君が思っているよりもヒドイ男だよ?」
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「あいつは恩人の娘だ。おいてやる理由はそれ以外にはない」
誰にも踏み込ませようとしないその闇の心。
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「行くな、飛燕っ…」
(「え…」)
小さく震える、背中にまわされた逞しい腕。
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「もしもの時は貴方が私を殺して下さいますか?」
「……いいだろう」
決して揺らぐことのない、氷の眼差し。
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「お前は、最後まで、私と共に生きると、約束できるか…」
もしかしたら貴方は、永遠に私を見ることはないかもしれない。
それでも。
私は貴方に寄り添えるだけで幸せだから。
“哀しんでいる貴方を愛する”