06/13の日記

02:18
日岳:神経質ヘタレ×天然タラシの恋愛事情(合宿編)
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恋人でもあり先輩でもあり、とにかく大事な人と一緒に合宿所に戻って来れた。
部屋やグループは違えど、今も同じ土地にいて同じ空気を吸っている。


戻って来たのはいいことだ。

……良いことだ、嘘じゃない。

でも、俺にとってはそれはそれで不穏な日々の幕開けだった。

この人はいつも、自分が気付かない内に俺を振り回す。
恋人以前に悩みの種でもある。
何処にいても何をしても悩まない時なんてのはない。
断言出来る。



「おい切原、髪が大変なことになってるぜ?クネクネ…なぁ仁王」
「えぇ〜マジっすか!?」
「ほんとじゃ、まるでワカメみたいじゃ」
「えぇー!?」
「ウソウソ、お前の髪っていっつもクネクネしてんだろ」
「まさにワカメぜよ」

「ちょっ…それ!二人共マジ失礼ッスよ!?」

「俺らは本当のこと言っただけだよな?」
「おん」
「ほら、な?」

「ゆ…幸村部長ー!真田副部長ー!」

「チッ…また真田ぜよ」
「おい仁王、幸村に怒られんのは勘弁だからな!」

トレーニング前の朝食タイムはある意味寛げる時間の一つ。俺としては人といるより一人でいる方が落ち着く。
ただ、中学生がこんなにも集まっていたら「静かに」と言われても守る奴は少ない。

色んなテーブルでガヤガヤは起きていた。
そして、とあるテーブルのガヤガヤの中心に向日さんは居た。
むしろ自らガヤガヤを起こしている。
切原を仁王さんと一緒にからかって、おかしそうに笑ってる。
そこに跡部部長と四天宝寺の白石さんが混ざって、騒がしいだの文句を言いながら跡部さんは向日さんのオデコにデコピンをした。

…今時デコピンで叱る部長ってのもどうなんですかね。
ただ向日さんに触りたいだけじゃないのか?

第一、なんだって切原なんだ。
いつの間に仲良くなった?
俺はその経緯を全く知らない。
いや、別に知らなくてもいいことだ。


「日吉…」
「!」

そんなことを考えていたら、肩に手が置かれた。
不意打ちに軽くビクッとなったが、相手には悟られていないはずだ。

「…鳳」

振り向けば、泣きそうな表情の鳳がいた。
俺のテンションが一気に下がる。
一瞬にしてわかった。
こいつはまた、要らぬ不安にかられて、落ち込んでもいない俺を慰めようとしている。
冗談じゃない。

「鳳、お前はもっと空気を読んでくれ」
「だけど日吉…!」
「…なんなんだお前は」

ため息が溢れた。
こいつが絡んだ後は大体良いことがない。

愚図る鳳を放って席が空いてる所へ向かった。とりあえず朝食を済ませてしまおう。

「すみません、相席いいですか」
「ええ、どうぞ。私にはお構い無く」

眼鏡をくいっと直してレンズ越しに柔らかく笑ってみせる。この人は向日さんと一緒にガヤガヤを起こした仁王さんのパートナーだ。
…俺としたことが、座る席を誤った。

「彼…仁王くんが独占してしまってますね。すみません」
「…なんの話ですか?」
「あ、いえ…なんだか申し訳なくて」
「……別に。気にしてませんよ」
「そうですか…」
「………。」
「………。」

変に気を使われると物凄く気になる。
この人は丁寧であって、悪い人ではない。
だけど、あまり言われて嬉しい言葉ではない。
やっぱり俺は、座る席を間違えたらしい。


「あ、おい日吉!!」
「…向日さん」

そうこうしていたら張本人がやって来た。
相変わらずの身のこなしでこっちにやって来た向日さんは俺の前に来るなりワシャワシャと髪を乱雑に弄くり回す。
今は俺が座っていて向日さんが立っている状態だ。いつもと真逆。

「アンタ…何がしたいんですか」
「何って?」
「髪弄るのやめてください、行動も意味がわからないです」
「へえ、ずっと見てたのか」
「くっ…」

俺としたことが、しくじった。
見上げればふーんと含み笑いを浮かべる向日さんが。

「お前、普段からそれくらい素直だったらいいのにな」

そう言って、よしよしと髪型を整えてもらう俺は向日さんの思うツボだ。



この人は自分でもわからない内に俺を振り回すのが上手い。
フラフラしていて危なっかしい一面もある。
だけど、最後は俺の所にフラフラと戻って来る。必ずだ。

それだったらもう、それだけでいいかと思える。





そんな風に考えている俺は、どうしようもなく向日さんに毒されてしまったんだろう。










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振り回される日吉のお話。
あれ?後半、柳生さんが空気化してしまった。。
鳳は「日吉頑張れ!」って物凄く応援するんだけど、
空回りして逆に日吉から煙たく思われてるイメージがあります。
なんでだろ…ごめんね鳳!


最近、日岳が薄くなってきたので補給。
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