05/24の日記

02:00
白岳:母親系過保護男子
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「おっ、今日も唐揚げがあるぜ!ラッキー!」
「唐揚げは駄目やで向日クン、俺と野菜食べようや」
「ゲッ…!」



母親系過保護男子。



親元を離れ、ある意味自由な生活を手に入れた最近。
飯はバイキング形式で、食いたい物が実質食べ放題な毎日。いつもなら野菜も食べなさいとガミガミ言ってくるお袋も、今はいない。
だから好きなもんだけたらふく食っていた。
そんな俺の前に突如現れたのがコイツだ。

「ゲッ!はないやろ向日クン。傷付くんやで?そないな反応されると」

白石蔵ノ介。
四天宝寺中三年、テニス部部長だ。
ある程度他校の奴等とも打ち解けてきて、正直友達も増えた。
だけど、こいつだけはいつまで経ってもその対象に入らない。
初めて会話をした時から、人の食生活にケチをつけてくるような奴だ。
俺としては好きなようにしたい訳だから、口を挟まれると良い気にはなれない訳で。

「俺、侑士と食うし」
「侑士クンならほら、俺らのテーブルに居るさかい一緒に行こう」
「チッ…」

四天宝寺メンバーがいるテーブルに見慣れた姿を見つけた。
こちらに向かって早く来いと手招きをしている。
そういや従姉妹がいたんだっけ、クソクソ侑士め俺の気も知らねえで。

「何脹れとるん?可愛ええなぁ、向日クン」
「はぁ!?お前、白石…頭おかしいだろ」
「なんでや。拗ねとる顔もええなって思ったんやろ。膨れっ面とか好きやねん」
「っ…キモいこと言うなっつーの」

「そら堪忍な」

白石はよくわからない言葉をさらっと吐く。
だから苦手だったりするんだけどな。
何を思ってそんなこと言うのかわかんねえし、なんでそんな楽しそうなのかもわかんねえ。
そうこうしている内に、トレイには野菜炒めや煮物やサラダといった健康的なおかずが置かれていた。
これが噂の無駄がない聖書ってやつか!?
その中心に、数は少ないけど置かれた俺の好物。唐揚げ。


「まぁ、野菜ばっかもバランス悪いし。少しだけやで?」
「し、白石…!」
「ほな行こか。時間無くなってまう」
「……クソクソ」
「ん?」
「なんでもねーよっ!」
「あー…ホンマ可愛ええな、向日クン。今度手作りの唐揚げ作ったるわ」
「マジで?楽しみにしてるぜ!」
「おおきに」












「侑士見てみい、まるでオカンと子供や」
「白石の過保護さが裏目に出とるわ…あいつら、あれでええんかいな。岳人は岳人で気付いてへんやろうし」
「前途多難やな」
「前途多難や」



母親系過保護男子。



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