それぞれが好き勝手な事を言い終わると跡部の掛け声で妙な団結力を見せる。
円陣まで組んで朝からノリノリだ。
そんなに楽しい合宿なのか、少し羨ましくなってくるくらい。

画面に写る仲間達の映像はそこで終わった。パソコン画面は再び無機質なメール画面に戻る。

そもそもこれは自分へのバースデー動画だったのでは？と、思うくらいに最後はただの朝礼みたいなものだった。
その後は跡部の皮肉めいた発言、すかさず突っ込みを入れる岳人の姿。宥める忍足に呆れる宍戸。マイワールドに帰る日吉に二度寝するジローと様々だった。

5分も満たない時間で、内容はバラバラで、でも最後は変にまとまりがあって。結局はいつものみんなに戻ったけど。
正直、その場に居ない自分の存在が残念でならなかったけど。撮ってる間さえも楽しかったろうな。

ただ、動いている仲間達の姿を見たのは本当に久しぶりだった。なので素直に嬉しい。誕生日を覚えてくれていた事に対しても、嬉しい気持ちが何よりも込み上げた。


「誕生日…こんな嬉しいもんだったっけ」


あまり拘ったことはないこの日。
今更だが気はずかしさが込み上げてきた。
きっと跡部のことだから、後からまたサプライズか何かあるだろう。だって跡部だから。
頭の片隅でそんなことを思いつつ、空になったマグカップに追加のコーヒーを注ごうと俺は席を立った。



「みんな、ありがとう。練習頑張って、俺もこっちで頑張るよ」







いつもの日常。
でも今日はほんの少しだけ、いつもより特別な朝を迎えられた。












Fin