番外編

□Happening Day
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―――――――



不「雅、一緒にお昼食べる?」

『あ、ごめんね?少し用事があるの』

不「そっか、なら仕方無いね」

『ごめん!今度一緒に食べよう!!』

不「うん」



雅は教室を出て体育館裏に向かう。
今朝下駄箱に入っていた紙は呼び出しの内容が書かれていた。
体育館裏に着けば、数人の女子生徒が雅を睨みつけていた。




『……何の用ですか?』

「とぼけんじゃないわよ!」

「テニス部に媚売ってマネになって!」

「邪魔なんだよ!」



雅を取り囲み、あれこれと言ってくる。
雅は臆することなく、じっと女子生徒を睨んでいた。




『私は貴方達と違って媚び売ったりも、ましてや練習の邪魔なんてしません!』

「な!!」

「生意気!!」

「ふざけんな!私達がいつそんなことした!!」

『じゃあ!必要以上に追い掛け回したり、フェンスの周りを囲んでギャーギャー騒いで練習の邪魔をしてるのは何なんですか!?』

「うるさいわね!!」




パァァン

乾いた音が響く。
雅は叩かれた左頬を抑える。




「媚売ってマネになったアンタの方がウザイわ!」

「どうせ大和先輩に媚び売ってお願いしたんでしょ?」

「うわー、それ最悪ー」

「さっさとマネ辞めなさいよ!」

「そしたら嫌がらせもやめてあげるわ」

『……ない……』

「は?」

『絶対に止めない!!私はテニスをする皆のサポートがしたくてやってる!!
 それは竜崎先生も国光君も知ってる!!アンタ達にとやかく言われる筋合いはありません!!』




雅は睨み付けながら、言い放つ。
女子生徒達はその雅の言葉にムカついたのか、再び手を振り上げる。
叩かれる!そう思った雅は目を瞑る。
だが、襲いかかってくる筈の痛みはいつになっても来なかった。
ゆっくり目を開けると、そこには不二がいた。




『周助、くん……?』

不「やぁ、雅の様子が変だったからね。気になって来てみたんだ」

「あ、あぁ………不二、くん……」

不「これは、どういうことです?」

「あ、わ、私達は!!」

「この子が媚び売って調子乗ってるから!!」

不「雅は!貴方達と違って媚び売ったりも練習の妨害などもしません。」





そう言い放つ不二は凛としていて、女子生徒も慌てる。
そして、雅を睨みつけると逃げて行った。



不「雅、怪我無い?」

『うん、全然平気』

不「…嘘。頬が赤くなってる」

『え?あ……』

不「……ごめんね…僕たちのせいだよね」

『そ、そんなことないっ!!周助君達は全然、微塵も悪くないっ!!』





必死になって慌てる雅に、思わず苦笑を洩らす。



不「保健室で冷やすといいよ。」

『うん、そうする……あの……』

不「?」

『このこと、皆には言わないでね?』

不「え?」

『ほら、皆大事な時期でしょ?練習してもらわないとだし……。
 何よりも、心配掛けたくない。お願い!!』

不「……分かったよ……」

『ホント!?』

不「ただし、本当に危ないと思ったら言ってね?」

『うん!』




雅は元気よくお礼を言い、校舎に戻って行った。
そんな雅の背を見送り、不二は一人暗い顔をしていた。






 
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