君との軌跡

□第1話「再会」
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不「ねぇ、雅」



春休みでも部活に励む部員たち。
そんな彼らに上機嫌でドリンクを配る一人の少女。
彼女はこのテニス部のマネージャーである。



『周助くん、なに?』

不「なんでそんなに機嫌がいいの?」

菊「何か良い事でもあったかにゃ?」

『さ〜てなんでしょう!?』

不「絶対何か良い事でもあったんだね」

『へへ!実はアメリカに居た家族たちが今日帰国するの!!今日から一緒に住むんだ!』




昨夜父から電話があった。
なんでも弟であるリョーマがこちら(日本)の大会に出ることになったから予定よりも早く帰国するとのこと。
今日の夕方には到着すると言っていた。




手「なら今日は早めに部活を終えるか?」

『え!?何もそこまでしなくても平気だよ!!』

手「だが普通に部活を終えると五時過ぎるが?」

『Σ!!』

大「今日くらいいいんじゃないのかい?」

河「うん、俺もそう思うよ。雅ちゃんはいつも頑張ってくれてるから」

『じゃ、じゃあお願いしてもいい?』

手「ああ」

『ごめんねっ!!ありがとう!』




手を合わせ、謝る雅だったが彼らの優しさが嬉しくて笑顔になる。
けれど少し悪いなぁと思う雅。




桃「そう言えば、雅先輩の弟って今年入学してくるんスよね?」

『そうなの!今から楽しみなんだ♪』

乾「ふむ。いいデータが取れそうだな」

『何のデータぁ!?』

大「でも雅ちゃんの弟かぁ〜」

手「テニスはしているのか?」

『うん!凄く強いプレイヤーだよ。きっと桃ちゃんたちにも勝てるくらいじゃない?』

桃「それはないっスよ〜〜!」




桃は慌てて否定する。
笑って返す雅だが、本気でそう思っていた。
もしかするとレギュラーになれるかもしれない。
あの子の実力がここでどう見えるか、それが楽しみでならなかった。




菊「楽しみだにゃ〜」

海「フシュ〜〜」

河「もう少しで入学式だもんね」

『そうそう!だから早く一緒に通いたいの』




まぁ、嫌がるかもだけど…と苦笑を浮かべて付け足す。
弟の性格を考えたら却下されそうである。



そしていつも通りに部活が終わる。
時間はいつもよりも一時間ほど早かった。





 
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