君との軌跡U

□第44話「城成湘南」
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城成湘南との試合を明日に控えたある日
雅はいつものようにマネとしての仕事に専念していた


『えっと次は…』



てきぱきと動き回る雅の首元にはキラリと光るものがある
そして着ているレギュラージャージは手塚のものだ
遠く離れていても、手塚もまた部長としてここにいる
そう思いたくて、こうして着ることを決めた



不「雅」

『あ、周助くん!』

不「頑張ってるね」

『そりゃあね。国光が居ない分、ちゃんと支えないと』




雅の笑顔に不二も笑みを浮かべる
そして不二は雅に封筒を差し出す




不「はいこれ」

『?』

不「この前の写真。みんなに渡してあるんだけど、雅と手塚には渡せてなかったから」




雅は封筒を受け取り、中から写真を取り出す
そこにはみんなで撮った写真と、手塚と二人で撮った写真が入っていた





『これ……』

不「いい顔してるよ、二人共」

『ありがとう』




雅は写真を眺め、笑顔を浮かべる
たった一枚だけの二人の写真
雅にとって宝物となる




不「そういえば、それ手塚から貰ったんだね」

『あぁ、これ?』




不二が指したのは雅の首にある指輪
雅はそっと持ち上げて眺める
ハートに羽飾りがついた可愛らしいデザインのピンキーリング




不「手塚らしい贈り物だね。予約ってことかな」

『〜〜〜////』

不「ハハ」

『もう〜//』





雅はあの日から必ず身に付けていた
大切なお守り
彼と自分が繋がっていられる証




『この前は本当にありがとう。周助くんにはお世話になりっぱなしだね』




苦笑いの雅
不二には中1の時から助けてもらってばかりだ
今回の件に関しても




『私に何かできることがあったらいつでも言ってね!』

不「じゃあ、今でもいい?」

『え?』




不二はニッコリと笑う
一瞬きょとんとした雅だったが、すぐに頷く




不「じゃあさ、名前」

『名前?』

不「そう。くんは要らない」

『えっと…どういう…』

不「だから、呼び捨てでいいよってこと。」




不二は雅の頭を撫でる
雅は戸惑いながらもその名を口にする




『えっと、周助……?』

不「そう。今回はそれでいいよ」

『え?』

不「僕もいい加減呼び捨てが良かったしね。雅には」




首を傾げてる雅に分からなくていいと頭を撫でる不二




不「じゃあ僕は練習に戻るよ。頑張ってね」

『う、うん!写真ありがとう』




不二はニッコリと笑ってその場を後にした







 
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