君との軌跡U

□第42話「思い出と」
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『ここはこうした方がいいんじゃない?』

「あ、ありがとうございます!」

『いいえ』



いつもの部活風景
雅はマネージャーとしてレギュラーだけでなく後輩のアドバイスも行っていた
そんな中、コートに入ってくる一人の人影

ベンチに座る桃城も他の部員たちもそれに気付かない




桃「おい越前、そこのラケット取ってくれ」




手を伸ばして、隣にいる筈のリョーマに言う桃城
だが反応がない




桃「おい越前!…!?部長!!」




そちらを見て驚く桃城
そこには久々に部に来た手塚の姿
みんながその言葉に反応してそちらを向く




『国光……』


大「手塚、久しぶりだな。ケガの具合はどうだ?もうテニス部は忘れられたのかと思ったぞ」

手「練習の邪魔だったか?」

大「あ、いや。」

手「いいから続けろ。」




その手塚の様子に雅は違和感を覚える
何かを思いつめているような…
雅は心配そうに手塚を見るが、部活中なので駆け寄るわけにもいかない

練習試合をする海堂や桃城をずっと見ている手塚

海堂がブーメランスネイクを決め、隣のコートでは桃城がダンクスマッシュを決める
その打球は後ろのフェンスにめり込む




桃「物足りねぇな、物足りねぇよ」




相手の部員は怯えている
そこへすかさず雅が声を上げる




『桃ちゃん!コートに入らなきゃ意味ないでしょ!?』

桃「あ」

『全く。ボール取るこっちの身にもなってよ〜〜』

桃「すんません、俺取るっスから」





桃は不貞腐れる雅にフェンスから取ったボールを渡す
雅はそれを受け取り、籠に戻す
そんな時、手塚が後輩の指導に当たっているのを見て首を傾げる




『(国光…?どうかしたのかな…)』




だがきっと聞いても答えてはくれないだろう
なら本人が話してくれるまで待とう




大「よし!今日はここまで!上がってよーし!」




その号令で部室へ戻って行く部員たち
雅は一年に指示を出した後、手塚に駆け寄る




『国光!』

手「雅…」

『部で顔を合わせるのは久しぶりね。はいこれ、部日誌よ』

手「ああ」

『練習メニューとか纏めてあるから目を通しておいてね』




二人で話していると、大石が駆け寄ってくる




大「手塚!雅ちゃん!」



それに二人は反応して大石を見る



『どうかした?』

大「今日何か予定あるのか?」

手「いや、別にないが?」

『私もないけど…』

大「そうか、良かった。」




大石の頼みごとに二人は了承する
それを聞いて大石は他のレギュラーたちの方へ向かった



『何かあるのかな?』



首を傾げる雅
そこへタカさんも駆け寄ってくる



河「手塚、雅ちゃん、ちょっといいかな?」

『どうかしたの?』

河「その、頼みがあるんだけど」




タカさんが遠慮がちに頼みごとをする
雅はそれに苦笑いを交え、タカさんが去っていくのを見る




『何か、今日は頼みごとが多いね』

手「ああ」

『じゃあ私は1年生を手伝ってくるね。今日は一緒に帰れそう?』

手「構わない。それに河村の件もある」

『うん!』




嬉しそうに一年の手伝いに向かう雅を見る手塚
左手を握り締め、笑いながら片付けをしている雅を見て目を細める手塚






 
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