番外編

□出逢い〜手塚・幸村・真田編〜
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それはまだ11歳、小六の夏の時だった――



゙――日本に行ってみるか?…少しは気分転換にもなるだろう″



辛そうな、哀しそうな、そんな笑みを浮かべて頭を撫でた父の提案
利き腕を負傷したあの事故から二ヶ月後…

越前雅は父南次郎と共に日本を訪れた




南「雅、今日ここでテニスJr.大会が開催されてるってよ。見に行ってみたらどうだ?」

『……父さんは?』

南「俺は日本に来たついでに挨拶しなきゃなんねぇとこがあるから行けねぇよ。悪いな」




南次郎に渡された地図
「テニスの大会」と聞いて気は進まなかったが、そう言われては行くしかない
昼食を食べ、処方された薬を飲んで地図を片手に家を出る

電車に揺られ、辿り着いた場所はテニスコート
だが雅は沈んだ面持ちでテニスコートから離れた木陰のベンチに座る


どうしても、テニスを見る気にはなれなかった…
あんなことになって、腕もこんなになってしまって……
頑丈に腕い巻かれた包帯、利き腕全体を覆う痛み…
もう、前のようなプレイは出来ないと言われた

そして何よりも、テニスをするのが怖い……


雅はその後、暫くの間沈んだ面持ちのまま動かずにいた
気がつけば大会は終わっており、人がチラホラと帰路につくためテニスコートを離れて行った




『……(結局、見れなかった……。…終わったなら、もう帰ろう……)』




嘆息し、ベンチを立った時だった
もう大会は終わっているはずなのに、どこからか球を打つ音が聞こえた




『…(大会、終わったんじゃないの……?)』





不思議に思い、ただ何となくで音がする方へ足を運ぶ


その時はただの気まぐれだった





それが、運命の



     自分にとって希望の出逢いだとは知らずに――…








 
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