君との軌跡U

□第46話「勝利と不安」
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「きゃー!若人先輩!!」

「頑張って下さいね!!」



きゃーきゃー騒ぐ女子たちに囲まれ、鼻の下を伸ばしている若人



乾「随分賑やかだな」

『本当、五月蝿いだけね』

不「雅、相当機嫌悪いね…」

乾「海堂、そろそろ出番だ」

海「いつでもいいっスよ」



海堂はジャージを脱ぎ、ラケットを持つ



『あんな奴、薫ちゃんなら絶対勝てるから!頑張ってね』

海「………うっス」



笑顔で見送ってくれる雅
だがその笑みは黒く、怖いと感じる海堂だった
こんなにも機嫌が悪い雅を見るのは実に久しぶりだった

コートに入る海堂と若人
そして若人ファンの声が一層五月蝿くなる
それに手を振って答える若人はオマケに女の子たちへウインクをする
目をハートにさせてトキめく女子たち
そして遂には若人は雅にまでして来た



『げっ!』

不「ハハ やっぱり雅って変なのに好かれやすいね」

『嬉しくない!!全っ然嬉しくないっ!!』




不二の言葉に全力で拒否する雅
若人は調子に乗り、投げキスまでする始末
雅は悪寒がするのを感じ、ブルリと身震いして己の体を抱き締める




『気持ち悪い!!絶対にあんなの嫌よ!!だったら千石のほうがマシよぉ!!』

大「マシ、なんだ………(汗」

菊「そこで比べちゃうんだ……(汗」

不「千石もある意味かわいそうではあるよね………」




雅の言葉に苦笑する者から冷や汗を流す者

そして二人は握手を交わす



若「さて、早速だけど君の相手を決めなくちゃあね」

海「俺の相手だと?」



妖しく笑う若人に首を傾げる海堂



若「そうだな、君にピッタリのプレイヤーは」



若人は海堂をじっと見つめる
そしてポケットから帽子を取り出すと、帽子を投げた
指を鳴らし、高々に言う



若「チェンジ!!」

「「「オーバー!!!」」」



若人に続けて取り巻きの女子たちが続ける
若人は落ちてきた帽子をキャッチし、それを被る
同士に若人の顔つきが変わった



リ「急に目つきが変わったっスね」

乾「チェンジオーバーか」

大「転換する、という意味だな」

『どういう意味なんだろうね』

不「うん。何か面白いことになりそうだね」



そこは面白がるところじゃないと突っ込みたくなる雅だったが、試合に集中することにした
若人のチェンジオーバーの意味が気になるからだ



 
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