犠牲の花

□◇城内◇
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◇城内◇





「おお…!バロン…バロン城だ…!!ふぉぉぉすげえぇぇ…!!」




あの後、何故かバロンへ行く事が許されたらしく、私は今バロン城の仮自室に居ます。いやっほー!私今ものすっごくわくてかしてる!ナッツに調子乗って城下町とか出るなよとか色々釘は刺されてるけどゾットの塔とは違う景色を見れて私のテンション急上昇!まあ急に外出許可が出たのは怖くもあるけど嬉しさが隠せない!外側から見たらド田舎っぺ丸出しなんだろうけども!…あとはこの視界を遮る魔道士の帽子さえなければもっと晴れ晴れしいのに!…取ればいいじゃないかと思いましたね?その通りです!でも私の黒髪隠すには仕方ないらしくてもー!





「おい。バロン行くぞチビ。」

「へ? …え、…えっ は!?」



突然部屋にやって来て飛んで来たナッツの言葉にただ動揺した。




「ゴルベーザ様からお許しが出たんだ!出たかったんだったらもっと喜べ!」

「えっ、あの、タイムリーすぎて……いや、出たかったけどさ…」

「ああそうだな!兎に角連れてってやるからその黒髪目立たねぇような装備揃えろ!!」

「無茶言いなさんなや!私に装備とか此処から出れないのにどうしろと!」




知るか!と言って伝えたら伝えるだけでさっさと部屋を出て行ったナッツ。…いや、ほんとにどうしろと。部屋で途方に暮れながらとりあえず開けた事のなかった引き出しやクローゼットらしき所を開けた。あった。一瞬止まって大笑いした。草不回避でした。




「っっ………まじ…まじなに…っ やば…入れたの誰だよルカか?ルミか??それともゴルベーザさんか?!シアじゃないシアでは絶対、ない!」




だって黒なんですもの。真っ黒にちょっと赤い小物があるくらいだから!シアならもっとおしゃんてぃーなの常備するだろうな!それにしても誰だ!笑いすぎてお腹痛い!これは!黒には黒で隠せと言うあれだよな?!誰かは分からんが言いたい事は分かる!!とりあえずありがとう!!!











…と言うような感じでこちらに来ました。はい。笑いすぎて咽ました。久々にツボに入った……今は首にずらしてるけど、魔道士の服セットの他にゴーグルもあるんですよ。多分黒目も出来るだけ隠せとの事かと。…しかしもうなんてこったい…魔道士の中でも不審者扱いとかされなきゃいいな……ココではとりあえず、バロン王が拾った魔道士って事で居させて貰ってる訳でして。さっき軽く挨拶だけしましたので皆さん一応認識はして下さってると、信じてる。魔道士っても当然、形だけだけどね(笑) ずっと部屋に居るのもなんだし、城内は歩いていいって事なので探検しよう!ゲームでなんとなーく構造は分かってるけど、やっぱりこの目で見たいじゃない?わくわく嬉しさでいっぱいでどうしても頬が緩む。ここは流石に帽子とゴーグル、それとストールでしっかり隠しておかないと…ってこの方が不審者じゃねぇか。なんて考えながらもすたこら歩いてるんですがー……とっても帽子が邪魔です。なので左右を掴んで周りに当たらないようにする。…これもこれで怪しいけどね?!




「(んん…めっちゃ…めっちゃ見られてる…)」




微かに聞こえるひそひそ話。見えないけど私に向けられたものだと分かる。




「あんな怪しい奴を城に住まわせるなんて…」

「本当に王はどうなさってしまわれたのだ…」




寂しいなぁー…ちょっと話し掛けてみようかな、と思って反対側に居た彼らに駆け寄ってみた。そしたら「聞こえたか?!」「やべっ!?」と聞こえた。そんなビビらないでよ!??こんなチビにビビられても困るぞ!




「あの、ちょっといいですか?」

「えっ!?あっ あ…?」

「かま、構わな、いが…?」




そんなあからさまに拍子抜けしないで頂きたいよー!大根だと思ってたらもやしだったー!みたいのか?!(違う)




「私来たばかりで道分からなくて…此処は、どの辺りですか?」

「此処は、右の塔付近だが…」

「…そこから上に上がれば城内、に入れるぞ」

「なるほど…!教えて下さってありがとうございます!」




こんだけで何だったんだって思われるかもだけど変な多分疑いは晴れるかなー?頭を下げて小走りで走り去ろうとすると、呼び止められた。振り返ると、さっきの兵士さんがどこか照れ臭そうに口ごもる。申し訳なく思ってくれました?!




「そのだ…どうせなら、案内してやろうか?」

「城は、広いからな…」

「!いいんですか!」




これはなんていい人!!いやバロンには元々いい人しか居ません!やったー!





***





「隊長!」

「遅れて申し訳ありません!」

「ビックス、ウェッジ。何処へ行っていたんだ。」

「はっ 魔道士アネモネが城内で迷っていたので」

「案内をしておりました…!」

「魔道士アネモネ…陛下がお連れした、あの…?」

「はい!癒し系でした!(ほわっ」

「え?」

「可愛かったです!(ほわっ」





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