犠牲の花

□◇敵陣◇
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◇敵陣◇





電気も付けずに暗いままの部屋。もうどのくらい時間が経ったんだろう?…此処はゾットの塔。ルビカンテが今は休んでとこの部屋に連れて来てくれた。私の為に用意した部屋だと。……どうしてなんだろう?どうして私が彼らの客人でこんなにちゃんとして貰って…意図が全然見えなくて不安になる。私は布団に潜った。…そうして思い出すのは赤い炎に包まれたエブラーナ。いとも簡単に散ってしまった兵士さんと白魔さんの命。そして…自分の異常な魔力。思い出すだけでも恐ろしい…寒気に襲われ、身体を丸めて肩を抱いた。何故こんな事になってしまったんだ。客人と言われているものの、本当はこの魔力で私は利用されるのだろうか?…頭に浮かぶのは疑問ばかり。自分ではどうしようもないものばかり。考えないようにとしてみても、次に浮かんでくるのはエブラーナへの罪悪感。…私は、自分の意思でルビカンテと共に来た。





エッジがルビカンテと間を取り、目の前に立った時、私は彼の腕を掴んだ。




「もういいよ…っ もうやめて…」

「っユタ…?!」

「もういいの…っ」




多分エッジも分かったと思う。私が泣きそうだって。じゃなきゃこの人は走って行く。




「今のエッジじゃ…彼に勝てない…傷付くだけだよ…っ」

「っんなもんやってみなきゃ分かんねぇだろ!!」

「彼は、ルビカンテは強いの!!強い貴方以上に強いの!!!」

「!ルビカンテ…!」

「火の、ルビカンテ………貴方の火遁じゃ太刀打ち出来ないの…っ」

「っそれでも俺が守る!!約束したろ!!─っ」




約束を守ろうとしてくれる事は嬉しい。でも、今の貴方ではただの無謀だよ…私はエッジの頬を両手で包んだ。…辛くて仕方なくて、苦しくて怖くて何度もごめんなさいとループする。そこで、初めて涙が溢れてきた。




「何、泣いてんだ、ユタ…」

「ごめんね…ごめんねエッジ…っ 私も………守りたいんだよ…っ」

「!」




「 スリプル 」





…そのまま、そう…エッジを眠らせて、私は此処へ来た。自分の意思…私が望んだ事………それなのに、涙が止まらない。潰れるくらいに胸が苦しくて痛い。どうしようもない……私は、エブラーナを裏切ったも同然だ。

何度、何度謝ったってこの苦しみから解放される事はない。それでも謝らなくてはいられない罪悪感が私を殺すかのような痛みを生む。



ごめんなさい ごめんなさい。


許さなくていい。


こんな私、


いくら憎まれても仕方がない。


ごめんなさい


ごめんなさい…






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