零れたNectar
□聖域
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「着きましたよ。」
教皇の居る執務室へと足を運び、私を部屋へと誘導する。
「…失礼します。」
浅く頭を下げながら部屋の中央へと進み、視線を前に正すその先には、数ヶ月前の青髪の男と、緑の髪をした男。恐らく此奴が教皇…
「良く来たな。そこに掛けてくれ。」
そう言い、教皇は近くの椅子に手をやる。
「では、私はこれで失礼します。」
それが合図だったかのように、ムウは下がり、扉を閉めた。
「………。」
「まずお前の名を聞こうか。」
「…ラテュ。」
「ふむ…ではラテュ。私はシオン。教皇だ。この間お前を迎えに行った彼はサガだ。」
「ムウから聞いた。カノンと双児宮を守る聖闘士、だったな…」
「そうだ。」
教皇シオン…何処かで、聞いた様な…
「所で、ラテュは一体何が理解出来ぬのだ。」
「…全て、だ。」
「全て…?」
「…自分で分かって居た筈の今までの気持ちが…全て、噛み合わない。自分が本来すべき事が、何か分からなくなった。…最早何かを考える事すら苦だ。」
「…ならば、お前の小宇宙の正体を探っている間は、この聖域居ると良い。」
「別に、気など遣って下さらなくても結構です。」
「いや、暫くは此処に留まって貰う事になるだろう。今はご不在であらせられるが、アテナとは会って貰わねばならん。」
「………分かりました。」
私は、しばらく聖域に住む事になった。
それは構わない。
…だが、彼奴が居ると言う事が堪らなく不快だ。
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始めましての久しぶり。
☆修正日14/3/10