A M O U R -アムール-

□儚い君に旋律を
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「俺にとっちゃポケモンは家族だ!!!好きで好きで堪らないんだよ!!!


それを…ッ



それを!その子達にてめえらは何してくれてんだぁああああああああああああ」







私の波導が、辺り一帯に広がった。


周りの人には、強い風が吹いた様にしか感じないけれど


ポケモンはそこら中から出て来た。


野生も手持ちも、私を味方とは認識出来ないからだ。


その所為で、周りの人達がまたパニックを起こした。


ごめんなさい。


それでも、こればっかりは我慢ならない。





「おい、ジュピター!アンタ、その子の力試すとかほざいてやがったなぁ…!」


「…何なの此奴…!」


「その子はアンタに怯えて、技ががむしゃらなんだよ!その子の本当の力なんて出てやしない!!!」


「何ですって…?!」


「その子を置いて出て行け!!」





そう、左腕を振り払うように伸ばした途端───





「ッ…」





腕が痺れた。





「…ぷっ…くっくっ…アンタ…なあに?それ…!」


「……。」


「其奴もアンタの奇麗事に聞き飽きたのよ!本っ当に滑稽ね───!!!」





その正体は、野生のコリンク。


“今だ”と言わんばかりに私の腕に噛み付いた。





「………。」





ジュピターは笑い続ける。


そんなのはお構いなしに、腕に噛み付いたままのコリンクを、私は抱き締めた。





「…ごめんね。」


『?!』


「怖かったね…」


『っ騙されないぞ!偽善者め!!!』


「ッ…」





偽善者か…


それはね、人間みんなそうなんだと思うよ。


みんな、嫌われたくなくて、自分の都合の良いように嘘を吐くんだから。





「そう、思ってくれて構わない。 だけど、いくら嫌われても、僕は君達が好きなんだ。大好きなんだよ。」


『うるさい!!』





噛む力を強めるコリンク君。


牙が食い込んで腕が機能しなくなりそうだよ。





「皆からどう思われたって、僕は変わらない。いくら攻撃されたって構わない!!寧ろ攻撃したいならすれば良い!!受け止めるよ!全部受け止めてやる!全部全部耐えてあげるよ!!!」


「なら、そうさせて貰うわ!!さあ、ペラップ!“ブレイブバード”よ!!!」


「!」


『!!』





───見えた。


ジュピターが指示を出した時に、ペラップに装着されている機械が



電流を流したのが。





「───僕は…お前達みたいなギンガ団が…ッ



  大 嫌 い だ ! ! ! 」



「ッなんですって…?!」





声に驚いて、腕に噛み付いていたコリンク君は離れ


代わりに、私の胸には今ブレイブバードの威力を纏ったペラップが居る。


どんどん、力に押されて後ろに下がっていく。





「ッく…!」


『どうして!どうして!!どうしてそんなに優しいの!!!もうやめて!!!』





───君は、優しい子なんだね…


とっても





「いいんだよ…いいんだよ…ッ…!」


『よくない!よくない!!放して、放して!!!あなたがっ』


「僕は君を助けるまでこの手を放すもんか!!!君を助けて、君が安心して過ごせる場所を探してあげる!


それまでこの腕は何があっても放さない!!!君の為に何でもしてあげる!!!」





強く、強く抱き締めた。


噛まれた腕から血が流れる。


あぁ、ごめんね。


汚れちゃう。


でも、ちゃんと守ってあげるから───





「くだらない事をいつまでもブツブツ言ってるんじゃないわよ!!さあ、早く吹き飛ばしてっ………!」





ジュピターが言葉をやめた。


それもその筈。


私は、ペラップを苦しめる装置の両脇を掴み、壊そうとしていた。





「…つくづく馬鹿な子…!アンタなんかの力で壊れる筈がないじゃない!!」


「やってみなきゃ…分からない事だって、あるんだよ!!!」


「分かり切った事だわ!アンタみたいな聞き分けのないガキが一番嫌いなのよ!!!」


「聞き分けのないガキで結構だ!!!僕は…僕は───!!!」








 人とポケモンとの絆を守り続けなくちゃいなけいんだ────!!!








「っぅお ぉおおおおおお…っ…!!」





ペラップを傷付けない様に装置との間に波導を入れ込んで、


使い慣れない波導で何処までしてあげられるか分からない。


だけど、やるしかないんだ…ッ





『いいの!もうやめて!!!あなたの腕がどうかしてしまうわ!!!』



「っ…いいんだよ…君が、助かるならいいんだよ…っ」


『っどうして…どうして、あなたはそんなにっ』


「何度も、言ったよ…僕は、君達が好きだから助けたいんだ…」





目頭が熱くなり、段々と今までとは違う力が湧いて来た





「───今まで…今まで…ッ」


『…!』


「つらい、思いさせてっ………ごめん、ね……………ッ」





こう思うと、もう、何もかも堪えられなくなった。





『どう、して…あなたがっ…泣くの…!どうして…どうして…っ!』


「ポケモンの痛みは僕の痛み…人の痛みも、僕の痛みっ…!全部…僕が助けたい…無理だと分かっていても助けたいんだぁああああああああああ!!!!!!!!!」





私の腕に、波導とは全く違う力が働き…








  ─── バ ッ キ ィ








「そんな、馬鹿な…っ!」


「あの装置が、壊れた…!」





装置を、粉砕した。





「───…こ、われ…た…!」





宙に浮き、力なく床に倒れたペラップ。


その子を、すぐに抱き上げた。





「…大丈夫…?」


『…あなた…なに、もの…?』


「ははっ…ぼくも、わからないや…」





そう、笑って返した。





「……………萎えたわ。」


「えっ」


「帰るわよ。」


「えっえ、しかし…」


「ま、待って下さいジュピター様!!」





そう、ギンガ団はその場を去った。





「…。」


『…傷、は…?』


「…。」





無言で、店を出てPCへと行こうとすると





「随分無茶な事をしたもんだね。薫君。」


「! ケイト、さん…」





ケイトさんが、呆れながらも、感心したような表情でこちらを見ていた。





「全く、アタシが追い払ってやろうと思ったのに…何て子だろうねアンタは。」


「…そんな、奴なんですよ。僕は。」


「そうらしいね。」





そう言って、ケイトさんは切り替え





「お前達!店を片付けてくれ。」





呼び掛けると、奥からポケモン達が出て来て、颯爽と片付けを始めた。





「すみませんね。とんだハプニングだ。今日は大事を取って閉店にします。今日の御代は、ちゃんとお返ししますから、またのご利用お願いしますよ!」





お客さんにはそう呼び掛け、もう一度私に振り返り





「アンタはPCに行きな。その子もアンタも、疲れただろう。」


「ケイトさん…」


「店の事が終わったら、様子見に行ってやるからさ。」


「…はい。申し訳ありません、ありがとうございます…!」





ケイトさんには本当に、謝ってもお礼を言っても足りないと思った。


けれど、今はこの子の体力が心配でならなかった。


また後で、いくらでも謝ります。お礼言います。


ありがとうございます。ごめんなさい。







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