A M O U R -アムール-

□儚い君に旋律を
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「待ちなよ。」





確かに聞こえた。


綺麗な声が泣いているのが。


ジュピターは私が呼び止める声も無視して去ろうとするが





「待てって言ってんだろうが!クソババア!!!」


「ッいい加減になさい小僧!!この私のどこが…!!!」


「化粧の濃いババアが何ですかぁ〜〜〜?僕呼び止めただけですけどぉ〜〜〜?」


「このっ…!尻の青いボウヤが生意気言うんじゃないわよ!!!」


「ああ、そうですね。僕はまだまだ青臭い坊主ですよ?それがなにかー?」





さっきとは違う態度の私に苛立ちを隠せないジュピター。





「まあ、それはどうでもいいんだよ。 僕がアンタを止めたのはさ…


アンタのモンスターボールから、泣き声が聞こえたんだけど。」



「鳴き声…?そんなの、当然じゃない。」


「違う。その子は怯えてる。怖がってる…『助けて』って泣いてるんだよ!」


「……あぁ。それ、此奴の事ね?」


「!」





そう言ってジュピターが投げたモンスターボールには、確かに…


その、声の主…


ペラップが入っていた。





『 たす、けて 』


「っ…!」





この子だ。


この子の声だ。


でも、でもその子には禍々しい装置が取り付けられていて


それを見た瞬間に、鳥肌が立った。





「此奴は私達ギンガ団の研究所で能力を格段に上げた特別なポケモンよ。」


「ッ…(でたよ)」


「コレは、特に攻撃力を強化してあるのよ。」


「ふざけんな…っ…」





これがギンガ団共のやり方だとは知ってる。



だけど…



だけど





「フッ 丁度いいわ。此奴の力を試してあげる!!」


「なっ───」


「“はがねのつばさ”!!」


『ッいやあああああああああ』





  許 さ な い 





「ッ───」





私はペラップの攻撃を避けずに受けた。


───あの子の痛みはこんな物じゃない。


あの子はもっと辛い。


あの子はもっと苦しい。





『ごめんなさい…ごめんなさい…ッ…』





あの子はあんなに






  泣 い て る








「君が…謝る、事はないよ…っ」


「は?」


「悪いのは君じゃない…其処に居るギンガ団の幹部や研究者共だ!!!」


「何言っているのか分からないわ?」


「ああ、分からないだろうね。貴様らの様な頭の腐った奴らにはさあ!!!」


「いい加減にアンタの言葉は聞き飽きたわ!“ハイパーボイス”!!」





悲痛に叫ぶような声。


ダメだ。


堪えられない───





「ポケモンは道具じゃねえんだよクソアマがあぁああああああああああ!!!!!!!!!!」


『ッ…!』


「!?」






私の何かが、外れた。








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