A M O U R -アムール-
□バラバラの行き先
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「はーぁ。」
彼奴と離れてから、もう数時間が経った。
…追って来ない。
口だけかと思ってたけど、結構本気だったんだな。
ま。僕にはもう関係ないケド。
「…でも、暇だなぁ…何して暇潰ししようかな。」
やっぱり、原型に戻って昼寝でもしようかな。
…あ。
…原型………
「これ、返し忘れたな…」
彼奴が大事だとか言ってた首飾り。
【アムールの涙】…とか言ってたかな?
まぁ、便利だから貰っておこう。
「…それにしても、何で黒水晶なんだ?もっとキレーな色にすれば良かったのに。」
どうせなら紫水晶とか普通の方がずっと…
「その、首飾りは………!!」
「ん?」
急に横から声が聞こえて、そっちに向く。
そしたら、レイムとか言う奴が居た。
「何だ、アンタか。僕に何の用?」
「君…その【アムールの涙】をどうしたのですか…!」
「…あぁ、これ?昨日バカから借りたんだけど、さっき別れて返し忘れたから貰う事に 」
「何て事を…!」
「…え?」
…何、コイツ?
こんな首飾り1つ貰ったって良いじゃん。
ホント、変な奴。
「その首飾りを薫様から遠ざけてはいけません!!それは薫様が肌身離さず持って居なければならない物なのです!!」
「はぁ?」
「それを離して、薫様の様子が変わりませんでしたか?何かが変わってしまった筈です…!」
「…変わったって…そんなの知らないけど、確かに様子は変だったね。」
「いけない…!早く、早く愛護様の元へッ…」
「愛護?なにそれ。あのマヌケの事?」
「! …貴男…愛護様を、愚弄すると言うのですか…?」
「…あのさぁ、アンタは何な訳?あんな奴に肩持ちすぎ。」
「薫様をその様な表現で呼ぶ事は許されません!!」
…あー、こう言う奴うざったい。
僕にどうしろってんだ。
「今すぐ、薫様に【アムールの涙】を返して下さい!!」
「返す?何で。…アンタさ、さっきからウザったいよ。こんな首飾り、僕が貰ったって何の害もないでしょ。」
「それはあの方と薫様とを繋ぐ、唯一の物なのです!」
「…あの方…?」