A M O U R -アムール-
□もろい
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「………ふぅーん………結構意外かも。」
「…何が。」
顔を上げられなくて、ずっと俯いたまま。
…こんな事でガタ落ちしてらんないのに…
してらんないのに……!
「さっきのセリフからして、君は絶対にオルローレを逃がさないと思ってた。」
「…うん。…ホン、トは…逃がしたくない、けど……………オルローレが本気、なら…………」
本気なら…
止めたくても、私は止められないかも知れない。
「…じゃあ聞くけど。…アンタ、ポケモンの意見を尊重するとか言ったけどさ。…あの庭では僕の意見を全く尊重してないよ?それはどう言う事?」
…あれは…
「…あれ、は………君が…良くて………」
「は?」
「…私は、君と旅がしたかったの。」
「…僕と…?」
「…うん。あの、ちょっと強気なポッチャマに…控え目なヒコザルも…2人共、凄く可愛くて良い子だけど………何か、違うの。ホント、本当に直感だけど………君が良いって・・・君じゃなきゃ嫌だって思ったの。…あの時、は…私も…強気な事、言っちゃったけど…………ティエトルが…………私と行くの、本気で、嫌なら………今からでも、戻って良いんだよ…?」
「……………。」
「…戻って………良い………ん、だよ…………?」
…2度目で…
本気で泣きかけた。
………嫌。
嫌なのは私だよ。
私にとってポケモンは家族で…
オルローレもティエトルも、もう私の家族な訳で………
──── 離れたくない。
お願い………
離 れ な い で ! !
「───ホンット、バカだね。 そんなの答え聞くまでもないじゃん。」
「っ………」
聞くまでもない、か…
やっぱり、戻るの…かな…………
そう、だよね…
ティエトル、私の事…
嫌いだし………
「…そんなに想ってくれてんだったら、帰らないよ。」
「───…え…?!」
…今…
なん、て……
「どうせ戻ったって、あの庭じゃ僕だって大した嫌われ者だよ。毎日同じ木陰で昼寝してるだけで、面白い事だって何もないし。…だったらマヌケなトレーナーを苛める方がまあまあ暇潰しにはなるし?」
「ぁ………」
「…それにアンタ、僕の場所勝手に作ったんでしょ? だったら、しばらくは其処には居てあげるよ。他に居るトコもないし、しょうがないから!」
やっぱり……っ…
この子は…っ…
「あ。でも、アンタが嫌いな事には変わりはないから。そこんトコ、米粒の脳ミソにでも叩き込んどいて。」
「っやっぱり……!」
「ん?」
「ティエトルはとってもいい子だよ〜〜〜っ!!!」
「っうわ?!ちょっと、何すんのさ!!」
「ありがとう、大好きだよティエトルーーーーっ!!」
勢い良く抱き締めて、頭をわしわしとナデナデすると…
予想通り思いっきり嫌がられた。
「…っはぁ…ホンットどうしようもない奴だね、アンタ。」
「ぐすん……ごめんなはい…だって嬉しい…」
「………はぁ……ほら!チビ捜しに行くんでしょ? 結構話しちゃったから、広い範囲で捜そう。」
「…うん!」
「…素直に返事されると気持ち悪い。」
「え?ちょっ、ひど…;」
…まぁ、それがティエトルなんだけどね。
そうでなきゃ君じゃないよね。
…捻れ者の、君が好きだよ。