A M O U R -アムール-
□初めての3匹
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──── そして、翌朝。
「───では、これが君のトレーナーカードだ。」
薫はナナカマド博士からトレーナーカードを受け取り、笑顔でお礼を言うと…
次は連れて行くポケモンを選ぶ為、昨日の庭へと出た。
「…どうしようかな。」
薫が庭を見渡すと、様々なシンオウのポケモンが視界に移る。
…だが、
「…みーつーけた♪」
あるポケモンを見付けると、不敵に笑った。
「決めたのかね?」
「はい。…実を言うと、昨日の時点でもう決まってたんですけど。」
「何?」
『だれをつれてくんですか?』
「…ちょっと、オルローレには悪いかなー…とも思ったんだけど……」
『え…?』
「違う子選んだら、後悔する気がしたんで。」
そう言うと、薫は腕に抱いていたオルローレを下ろして、あるポケモンの所へ一直線に足を運び…
『! お前…!』
『また来たの?!』
其処に居たのは昨日のポッチャマとヒコザル。
「うん。また来たの。」
『ぼく達のどっちかを連れてくの?』
『ボクは絶対に嫌だからね!!』
「安心して。君達じゃないから。」
『え?』
『じ、じゃあ…』
「うん。私が連れて行くのは───……
ナエトル。
……君だよ。 」
「何、ナエトルを選ぶのかね!」
『そのかた、ですか…?』
『………。』
当然の如く、ナナカマド博士もその場に居たポケモンも驚き…
オルローレも怯えた表情を見せる。
『…やめておいた方が良いんじゃない? …ほら。チビだって怯えてるじゃないか。』
「いや、やめない。 私は君に決めた。…絶対に。」
「薫君。本当にナエトルで良いのかね? …君やオルローレ君の話を聞く限り、このナエトルは…」
「はい。この中でも、私を一番嫌ってます。」
『じゃあ、何で選ぶの?!』
『仲間にしても、問題児になるだけじゃないか!?』
「そうだろうね。でも、私はコイツを絶対に手懐ける。」
『…ふぅん…? 僕を手懐ける自信でもあるの?』
「今の所はないよ。」
『自信もなくて言ってんの? ハッ!馬鹿じゃないの?』
「そうだね。私は馬鹿だよ。」
そう、冷静に答えていると…
ナエトルは馬鹿にした目で薫を見た。
『肯定する何て、自覚してるんだ?』
「まぁね。」
『自覚しててもバカは馬鹿。…僕はアンタに付いて行く何て真っ平御免だね。』
「そう言うと思った。…でも、付いて来て貰うよ。……私はアンタ以外の子を連れて意行く気何てないから。」
「…決意は固いようじゃな。」
「勿論です。」
「では、コレがナエトルのモンスターボールだ。」
「はい。」
本物のモンスターボールを手にすると、嬉しさに笑みを零しながらナエトルを見やり…
「さあ。入って、ナエトル!」
モンスターボールを向けるが───…
「っあ!」
『ハンッ!そんなのに誰が入るか!』
素早く躱されてしまった。
「…意地でも私と来ない気ね…!」
『当たり前だよ!』
「思ったより手間掛かりそう…!」
『じゃあ、アンタが僕と戦って勝てたらボールに入ってあげるよ。』
「言ったね?上等だ!そのバトル受けて立とうじゃない!!」
「薫君!」
「ナナカマド博士!ちょっとこの庭借りますね!バトルして私が勝ったらボールに入るそうなので!」
「しかし、君の手持ちは…」
「───いいね?オルローレ!」
『でも、ははうえ。…ぼく、まだ…』
バトルに自信がないのか、俯いてしまうオルローレだが…
「自信持って!バトルの為にオルローレはズガイドス君に稽古つけて貰ってたんでしょ?!」
『ぁっ……!』
「ちゃーんと知ってるんだからね! それに、オルローレは波導が使えるんだから大丈夫!!」
『っ………!』
「お願い!私の力になって!!」
『っ───…はい!わかりました、ははうえ!!』
「よし! じゃあ、行くよナエトル!!」
『いつでも掛かって来な!』
『ははうえのおちからになれるなら、ぼく…たたかいます!!』