A M O U R -アムール-
□初めての3匹
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『うわぁああああああん!!!』
『ぁ、あー!な、泣かないでっ!!;』
『ほら!お前の所為で泣いちゃったじゃないか!!謝れ、ナエトル!!』
『どうして。僕は本当の事を言っただけだけど?』
『それがダメ何だよ!!!』
必死にオルローレを泣き止ませようとするヒコザルに、泣かせた張本人であるナエトルに何度も「謝れ」と言うポッチャマだが…
当の本人は、全くの知らんぷり。
『ははうえ…っ…ははうえ、とってもいいひとですっ…!あなたたち、しらないですっ…!とっても…とってもやさしいははうえです〜〜〜〜っ!!』
『ご、ごめんね?泣かないで!』
『うわぁあああああん!!』
『あー、もううるさい!黙ってくれない?耳障りだよ。』
『ナエトル!!』
「───オルローレ!」
『! はぁーはーうーえぇーーーーーっ!!』
後ろから薫の声がすると…
オルローレは一目散に走り出し、抱き付いた。
「どうしたの、そんなに泣いて!!」
『だぁって、だってははうえー!!』
「あぁー、よしよし!大丈夫!泣かない、泣かない!!」
『わぁあああん!うわぁあーーーーーん!!』
いくらあやしても、オルローレは泣き止まない。
「一体何があったのじゃ?」
「分からないです; …すみません…泣き止みそうになくて…;」
『みなさん…ははうえと、レイムさんのわるぐちいったですーーーっ!!』
「え? じゃあ全然オルローレが泣く事ないじゃん!;」
『ぼくは…っ…ぼくはははうえじゃないははうえはいやです〜〜〜〜〜〜っ!!!』
「な、何いってるの?!;;」
『…アンタじゃないと嫌だって言ってんだよ!ソイツ!』
「え?」
言葉が足りないのに痺れを切らしたのか、ポッチャマがそう口を挟んだ。
「それは、知ってるけど…;」
『ボクらは君が気に喰わない!』
「ん?」
『好きに、なれないんだ…』
『“好きになれない”んじゃなくて、“嫌い”でしょ?』
「!」
『な、ナエトル!!; っ…ぼく、は…其処まで嫌い…って訳じゃ……』
『フン。そうやってイイ子ぶるんだ?』
『っそ、そんなんじゃ…!』
「───分かった。…オルローレを泣かせたのは君だね?ナエトル。」
…と、ナエトルに強い視線を向けた。
だが、ナエトルはそれに動じず負けじと睨み返す。
『だったら、何?ソイツの仇でも取る訳?』
「そんな事はしない。」
『…ふぅん…?どうかな。』
「性格の悪い子だね。」
『誉め言葉として受け取っておくよ。』
「…薫君。ナエトル達は何と言っているのだね?」
…薫とナエトルが睨み合っていると、ナナカマド博士が不思議そうに声を掛けた。
「あぁ…そうですね。 ナナカマド博士。私、この子達に嫌われてるみたいです。」
「!何と…!君の様な優しい子を嫌うとは一体…」
「仕方ないですよ。私、ポケモンに嫌われる体質みたいですから。…それより、私一旦PCに戻ります。…トレーナーカードとポケモンは、明日また取りに来ます。」
「そうじゃな。君のオルローレ君を落ち着かせなければならないからな。」
「はい。では、また明日お伺いします。」
「ウム。すまんな。」
「いえ。此方こそお騒がせしました。」
そう、一礼をしてから研究所を出ると…
「…面白いじゃない…」
…と、呟いた。