A M O U R -アムール-
□辿り着いた先
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……ヒョウタ君とズガイドス君に助けられて、私の目が覚めてから…
早くも一週間。
…寝てた間を合わせると二週間程だとか。
体起こせるようになったけど、まだちょっと痛い。
特に足がね。
「───薫ちゃん。起きてるかい?」
「あ、はい!起きてますよ。」
『また来たぞ。』
ヒョウタ君は、いつもズガイドス君とお見舞いに来てくれる。
そして…
『みゅ、みゅっ!みゅぅ!!』
「うわっ!;;」
『おっと…っこら!危ないだろ!?チビ!』
『みゅぅ!みゅーっ!』
二人が来ると、必ずあの小さいたまごから生まれた子が走って来る。
『みゅぅ、みゅぅっ!』
「分かってるよ。オルローレ。」
ベッドの下から私に抱っこをねだる、この子の名前はオルローレ。
種類は 波紋ポケモンの「リオル」。
でも、まだ力が上手く使えない様で、言葉を中々送れない。
本当に、生まれたばかりの赤ちゃん。
「薫さん!オルローレ君…!」
「大丈夫ですよ。ちゃんと居ますから。」
この子の困った所は、
「やっぱり…貴女じゃないと嫌みたいで…」
「あらら…やっぱりダメ、ですか…;」
『みゅ?』
…とっても甘えん坊何です。
でも、誰でも良いって訳じゃなくて…
私限定みたい。
たまごから孵ってすぐ、私に抱っこをねだって来たくらい。
ピキ ピキッ …
──── パ リ ン ッ ────
「生まれたわ!」
『…みゅ、み…みゅ…』
「うわぁ〜!小さいなぁ!」
「可愛い〜!リオルだぁ〜っ!!」
『…本当に小さいな。』
『たまごが小さいですからね。』
皆がそれぞれの意見を言うと、リオルはじぃー…と私を見詰めていた。
「ん?なぁーに?」
私がそう聞いてあげると、
『みゅ…みゅぅ!みゅぅっ!!』
「わっ!」
とても嬉しそうな笑顔で、私に抱き付いてきた。
…嬉しいけどちょっと痛いυ
『んみゅ〜、みゅ、みゅぅっ!』
「んー?どーしたの?」
私の胸でごろころと甘えるリオルを優しく撫でてあげると、嬉しそうにまた一段と甘えてくる。
「あら、あら。…その子、貴女の事をすっかりお母さんだと思っているみたい!」
「Σえ?!」
お母さん!?
「まぁ、その甘え方からすると、そうだろうね。」
『離れそうにもないぞ。』
「わ、私にお母さんは似合わないと思うよ?;」
そう言うと…
リオルはぶんぶん首を横に振った。
「え…?;;」
『だから、さっきも言っただろ?其奴はお前じゃなきゃ嫌なんだよ。』
「そんな事言われても……」
「…君は嫌なのかい?」
「…ぅーん……嫌じゃないんですけど……何だか………;」
『別にトレーナーじゃなくてもポケモンは持てるだろ。』
「そうだけど…」
って言うか何でそこにいく?
『何より、其奴がお前が良いって言ってる。』
「……………。」
『みゅ…』
「…貴女の決心が付くまで、この子は此方で預かって居ますから、貴女は、ゆっくり選んで下さい。私達は、どちらでも大丈夫ですから!」
ジョーイさんはそう言ってくれたけど…
私は、この子を離したくなかった。
…この子も、私から離れなかった。
…その日のうちには決められなかったけど、
オルローレは、ジョーイさんが連れて行っても…
すぐに戻って来る。
今だって、私に抱き付いて離れない状態。
「いやぁ…オルローレ君は本当に薫ちゃんが好き何だなぁ…」
『チビ!あんまり周りに迷惑掛けるな!』
『みゅ…』
「ズガイドス君…怯えてるって…;;」
「この子、目が覚めて貴女が居ないと泣き出しちゃうんですよ…」
「あららぁ……ジョーイさんの手に負えない感じですか…;」
ま、この子はもう私のオルローレだけどね!