A M O U R -アムール-
□辿り着いた先
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「……………。」
………此処…………
……知らない天井………
「………うっ………;」
い…… い た い ……;;
「動けな…っ……;;」
痛すぎて起き上がれやしない。
チクショー。
俺が何をしたんだよー!
…それより、此処は何処!?
何か病院っぽいけど…
ポケセン?
「───…あ!」
「?」
誰か来た…
…た…た……
…………っ………!!
「目が覚めたんだね!?良かった!!」
なっ……!
なななななななななっ……………!!!?
「中々起きないから、心配してたんだ。…なあ、ズガイドス。」
『全くだ!』
NA☆NI☆GO☆TO?!
「な、な…何の、事で……??;;」
うそ、うそ、うそ…っ…!
「あ、ああっ!そ、そんなに怖がらないでっ そうだよね!説明もナシにいきなりそんな事言っても分からないよね!;」
そうじゃ、な・く・て!
何故ヒョウタ君&ズガイドス君が此処に!!?
『お前、この間炭鉱で大怪我して倒れてたんだぞ!』
「え?」
『オレが見付けて、ヒョウタが此処まで運んだんだ。』
「………。」
『オレとヒョウタに感謝しろ!』
「…ズガイドス君。」
『何だ?』
「…君、性格“なまいき”?」
『Σなっ…!!』
「?」
『お前助けてやったのに何言いやがる!?オレは“しんちょう”だっ!!』
「わわっ; ごめん、ごめん!痛っ ちょ、やめ…;;」
「あっ!こら、ズガイドス!」
ズガイドス君はベシベシと短い腕でベッドと私を叩き、言葉が分からないヒョウタ君は慌ててズガイドスを宥める。
「全く…ズガイドス。静かにしないとジョーイさんに怒られるぞ?」
『何でオレ何だよ!先にケンカ売って来たのはこっちだろ!?』
「別にケンカ売ったつもりはなかったんだけど…; ごめんね、ズガイドス君。何となくそう思ってつい言っちゃったっ」
『…ふん!心配して損したぜ!そんだけ無駄口叩けりゃ大丈夫だっ!』
「ん?」
…………この子………
ツンデレ?
「…あら!目が覚めたのね!?」
あ。ジョーイさん…
「あ…はい、お陰様で…」
「良かった…!これもヒョウタ君がすぐに運んでくれたお陰だわ!」
「いや…僕より先に見付けたのはズガイドスですから…」
…助けて貰っちゃったんだ…
「…何だか、迷惑掛けちゃったみたいですね…」
『本当にな。』
「すみません。ありがとうございます。」
スルーしてごめんね、ズガイドス君。
「そんな、迷惑だ何て思ってないよ!それより助かって本当に良かったよ!」
「骨に異常がないから、ある程度動ける様になればすぐに退院出来ますよ!」
「…え?;」
入、院だと!?;;
『そんなの当たり前だろっ!?全身打撲に左足捻挫!二の腕は内出血、オマケにポケモンの歯形やら爪跡まである上に、軽い貧血と栄養失調だからな!!』
「…説明ありがとう、ズガイドス君。」
この子心配性なのね…
って言うかジョーイさんの話、良く聞いてるなぁ…
「…貴女…」
「はい?」
「ポケモンの言葉が分かるのね!?」
「Σ!!」
し、しまった…っ!!
僕、超痛い子!!;;
「やっぱりそう何だね!?さっきからズガイドスと会話してるみたいで不思議だったんだ!」
「私には化石と話せる貴男の方が不思議です。」
畜生…可愛いぞ、ヒョウタ。
「あと…」
「はい?」
急に何だろ…
凄い心配そうな顔して…
「…貴女の持っていたたまごだけど…」
…え…?
何…?
あの子が、どうかしたの?
「…何だか、動かないのよ。」
「動かない…?」
「えぇ。貴女が持っていた時は少し動いていたけど…」
何で…?
「っ……」
「あ!まだ起きたらダメですよ!!」
「たまごを…」
「っえ…?」
「…たまご、持って来て貰えますか?」
「え、えぇ…ラッキー。お願い。」
『はい。』
動かない何て嘘だ。
「君は横になっていた方が良いよ。」
「………。」
いやだ。
横に何かならない。
動かない何て嘘。
だって…あの子は……
『はい、たまごです。』
「…うん。ありがとう。」
この子は、話し掛ければ動いてくれる。
「…大丈夫だよね?たまごちゃん。」
撫でれば返事、してくれるよ。
…うん。大丈夫。
大丈夫…
───── コツ………
「!!」
「え?!」
『動いた…!』
『これは…』
「大丈夫、だね。」
コツ コツ
…ほら、大丈夫。
『今まで…全く動かなかったのに…』
「たまごが、動いた…!!」
『…このたまご。』
「…ん?」
『…お前じゃなきゃ、嫌だったんだな。』
「…私じゃ、なきゃ…?」
…どう言う事?
『そのたまご、もう生まれるぞ。』
「え……?」
コツ コツ
───── ピ キ ッ
「!!」
ズガイドス君がそう言った矢先、
…本当に、たまごに罅が入った。