捧げる宝珠
□A Sweet Moment
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「美味しい」の一言を待っている期待に満ちた瞳・・・。
最初は必ず俺が食べる事になる。
口に入れるまでは自信の無い不安なそうな表情のあんたは、堪らなく庇護欲をそそる。
だから、何時もゆっくりと口に入れる・・・。
「あぁ、よく出来ている・・・美味い。」
そう伝えた後の安堵と喜びの表情は愛おしくてならない。
嬉しそうに自分の分を食べ始めるあんたは・・・・シュークリームが好きな割りに食べるのが下手で・・・・・必ず口の端にクリームを付けてしまう。
物を食べる仕草は卑猥だと誰かが言っていた・・・。
確かに・・・・見詰めているとおかしな気になって来る。
シュークリームに立てる歯・・・被さる唇・・・口元に付くクリーム・・・舐め取る舌・・・。
斜向かいに座るあんたの・・・その口元から視線が外せない・・・。
つい・・と伸びる手・・・
手繰り寄せる身体・・・
重なる視線・・・
口元のクリームを舌で舐め取る。
びくりと跳ねる肩に思わず上がる口角・・・・
”ねろり”と舐ると唇僅かに開き始める。
その隙間に己の舌を潜らせると、甘いクリームの味がした。
「・・・甘い・・・な。」
絡める舌・・・・・
漏れる吐息・・・・・
握り合う手と手・・・・・・
至福のひと時は・・・・・・
バニラビーンズとカスタードの・・・
甘い・・・甘い・・・味と香りがした
<あとがき>