薄桜鬼 短編
□嫉視
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けれど、ある日を境に彼等の巡察に不思議な男の子が共に歩くようになった。
落ち着きなくきょろきょろする様、腰には小太刀のみ、男の子なのに桃色の着物を着て・・・・・。
妙に高い声で次から次へ人に声を掛ける。
「あの、父様を探しています!剃髪で・・・・」
声を掛けられて驚いた。
この子は女の子なのだと・・・・・。
袴を履いて男の子の様ないでたちをしているけれど。それすら意識に無いのか、身のこなし、話し方・声・・・全て女の子だった。
”新選組が女の子を連れている”其の噂は・・・本当だったのだ・・・。
そして・・・・ずっと貴方を見詰めていた私には解ってしまった。
其の少女を見つめる貴方の瞳の奥に温かい光が宿っている事に・・・・・。
隊から少し離れるだけで心配そうにし、絡まれていれば一番に助けに行く。
私の方がその子よりも長い時間貴方を見詰ていたのに・・・・・・・・・。
空回るだけの私の思い。
この思い・・・・伝える事が叶わないのなら・・・・・
せめて・・・・・貴方のその瞳に映ってみたい・・・・・・・・・・。
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