短編
□背中に愛しさ
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「分かってんなら抵抗すんな。」
「それは出来ません!」
「…まさか、他に男でもできたのかぁ?」
「違いますけど…。」
「じゃあ…」
「み、見られたくないんです。」
「何をだぁ?」
「………おなか。」
「あ゙?腹?」
そう言って首を傾げる隊長に、私は黙ったままコクコクと頷いてみせる。
隊長が今まで付き合ってきたのは全員美人でスタイル抜群のお姉さんタイプ。
それに比べ私は……。
「一生のお願いです、ダイエットが終わるまで待って下さい!」
「…そんなもん、なんでオレが待たなきゃならねぇんだぁ。」
薄々気付いていたけど、一生のお願いが通じた人って見た事ない。
そして、それは私も例外じゃなかったようで、必死の願いは敢え無く隊長に却下された。
「はっ、言われなけりゃ腹なんて見もしないのによぉ。だが、これじゃあ嫌でも“最中”に目が行くなぁ?」
「さささ最中って、何の…」
「せいぜい腹筋に力入れて、腹へこませとくんだな。…良いダイエットになるぜぇ?」
そう言って意地の悪い笑みを浮かべた隊長のキスに押され、私の身体は再びデスクに縫い付けられる。
ここまで来ると無意味な抵抗など諦めるしかなくて、私はゆっくりと全身の力を緩めた。
それに…
固いデスクから私の背中を庇うように差し込まれた隊長の優しい腕を感じてしまったら、これ以上拒む事なんてとても出来そうにない。
END
ソラコト 5周年記念夢小説
『背中に愛しさ』
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