短編
□Best friend
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こうしてスクアーロと酒を飲み交わす関係になるなど、昔のオレならきっと予想もつかなかっただろう。
あの頃はただただ恐いと思っていた奴が、今では同盟ファミリーの仲間であり、良き友人でもある。
…まあ、友人だと思ってるのはオレだけかもしれないが。
そんな事をぼんやりと考えながら、オレは正面で顔色一つ変えずに度数の強い酒をあおるスクアーロに視線を送った。
すると、何を思ったのか、ふとスクアーロの口元が緩み、からかうような口調で話しかけられる。
「そういや、この前テメェの部下達がぼやいてたぜぇ?“ボスは婚約者候補すら決めようとしねぇから、キャバッローネの跡継ぎができるか心配だ”ってなぁ。」
「そう言うおまえはどうなんだよ。」
「オレは死ぬまで剣と共に生きるつもりだぁ。家庭なんざ持つ気はねぇ。」
「そーなのか?オレはてっきり結婚して、自分の息子に剣を教え込むとか言い出すと思ったぜ。」
「そんな都合良く男が生まれるかぁ!それに女だってオレが教えりゃ、そこそこ腕のある剣士に…」
そう途中まで言いかけると、スクアーロはハッとしたような表情を浮かべ、話を切った。
そして、片手で自分の頭をガシガシと掻き、目線を横に流す。