短編
□沈みゆく餌
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「スク…ッ、助け…」
「アーロ。」
取り乱し、助けを求めた私の言葉に、スクアーロの低い声が被さる。
そして、スクアーロに名を呼ばれたアーロは、彼の持つ匣内へ引き込まれるように姿を消した。
私は張り詰めていた緊張を解く為に、息をゆっくりと吸い、吐き出した。
こうした丁寧な深呼吸を二、三回繰り返し、乱れた呼吸と気持ちを落ち着かせた後、私はスクアーロの傍に歩み寄った。
「いきなり何するの!」
「ゔお゙ぉい、落ち着けぇ!オレは何もしちゃいねぇ!」
「嘘!あと少しで食い殺されるところだったじゃない!」
「あいつはテメェを殺そうとしたわけじゃねぇ。」
「…口、思いっきり開けて噛もうとしてましたけど?」
「食いたかったんだろ。」
「鮫に食べられたら、普通死ぬわよ。」
「だから、アーロを匣にしまったんだろーがぁ。」
矛盾している。
いったいスクアーロは何がしたかったのだろう。
スクアーロは何もしていないと主張するが、アーロは確かに私に襲い掛かってきた。
でも、そのアーロを止めてくれたのはスクアーロ。
「ああもうっ、わからない!アーロはあなたの思考を読み取って行動するんじゃなかったの!?」
そう私が口にすると、スクアーロは困ったように自分の頭に手を置いて、その銀色の髪をガシガシと数回握り潰した。