過去拍手
□False lover
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「失礼します。ボス、何か私にご用で……ぶっ!」
“至急オレの部屋に来い”とボスから連絡を受けたのは、今から5分程前の事。
そして大急ぎでボスの部屋に向かった私は、部屋のドアを開けるなり、視界が暗転した。
「今すぐそれに着替えろ。」
「…はい?」
訳のわからないまま、私は自分の視界を塞いだモノ…いや、正確に言うと顔面に投げ付けられたモノを、両手で摘み上げまじまじと眺めた。
それはボスの瞳と同じ色を持つ、深紅のドレス…。
「ボス…これ…」
「ごちゃごちゃうるせぇ。おい、連れてけ。」
「えっ?!ちょっと待っ…!」
ごちゃごちゃうるせぇって…私まだ何にも言ってないんですけど!
それに、まったく話が見えないんですけど!
そう心の中で上げた叫びはボスに届くはずもなく…私は、ボスの側近達の手によって強制的に部屋の外へ連行された。
腕を引かれるままに連れてこられた場所は、アジト内にある小部屋。
そこに待機していた数人のスタイリストの手によって、私は服装からメイク…髪型まで整えられた。
どうしてこんな格好を急にさせられたのか。
未だにその答えがわからないまま、私はドレスアップした姿で再びボスの部屋を目指した。