過去拍手
□False lover
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着慣れないドレスに、ヒールの高い小綺麗な靴は思った通り歩きにくくて、ボスの部屋に向かう途中、私は何度も転びそうになった。
それでも、やっとの思いでボスの部屋に辿り着くと、ボスは「おせぇよ。かっ消されてぇのか?」と、いつも以上に恐い顔をして私を睨む。
ああ…。
私、何か貴方を怒らせるような事をしましたか…!?
「…かっ消されたくありません。それより、ボス。私にこんな格好させてどうするおつもりですか。」
「任務だ。」
「無理です。こんな格好じゃ動きにくくて、暗殺なんてできませんよ。」
「このドカスが。今回の任務は暗殺じゃねぇ。」
「?」
「テメェには、これからオレが出席するパーティーに同行してもらう。」
「ああ、毎年恒例の…マフィア界や財界の大物が集まるパーティーですか。」
「そうだ。」
「あれ?でも、去年は確かボス一人で出席していませんでした?今回はどうして私なんか…。」
「蝿避けだ。」
「……。」
そういえば前回、ボスはパーティーに出席していた財界のお嬢様方に追いかけ回されたとかで、ひどくグッタリしてアジトに帰ってきたんだっけ…。