長めの夢 うたプリ(♀主人公)@

□出会い
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放課後になって私の足は段々と早くなっていく
向かう先はもちろん楽器倉庫

早く曲を作りたい。こんなに気持ちが昂っているのは入学してから初めてだと思う


ドン!

「っ!」

浮かれすぎていたのか視界が狭くなっていたのか廊下を曲がると人と盛大にぶつかってしまった

鞄が手から離れ、尻餅をついた

「ご、ごめん!大丈夫?」

視界に手が映る
上を見上げてみれば同じクラスの名前は…えーっと………

「一十木君…」

明るい髪色に健康的な少し焼けた肌に爽やかな表情の男の子…そういえばこの人自己紹介で歌を歌ってた気がする
名前は一十木…音也だったっけ?

「えーっと君は…」

顔は見たことあるんだけど名前が…といった顔している

「…………」

私は彼の手をとることはなく自力で立ち上がり落とした鞄を拾った

「えと、怪我とかない?大丈夫?」

「大丈夫…」

一十木君の質問に受け答えしながらスカートについたほこりをおとす


「何?どうしたの音也ー?」
「いや、ちょっとぶつかっちゃって…」

一十木君の背後から女の子が顔を出した

「音也、女子にぶつかるなど失礼だろう」
「だ、大丈夫ですか?」

一人の女の子が顔を出してからさらに増えた
よく見たらこの人たちも同じクラスだった気がする

できるだけ関わりたくない

「大丈夫なんで」

失礼、と彼等に軽く頭を下げ角を曲がりき…

ドン!

「………」

また人とぶつかった

しかし今度は後ろに倒れることはなく、なんとか耐えた

「あ、すいません」

上から声がしたので顔をあげてみればクリーム色のような色素の薄い髪色に眼鏡をかけた穏やかそうな人

「今度は四ノ宮か」

ぶつからなかった男の子が呆れた顔で言う

「あ、可愛い!」

四ノ宮、と言われた人は私と目が合うと両手を大きく広げ私に抱き着いた

「!!!!」

ビクッ!と誰もがわかるくらい体が跳ね上がる
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ

「っ!!」

ドン!

大きな体を押しのけて無理やり体を離し全速力で楽器倉庫へ向った







ガチャっ

バン!

「はぁっはぁっはぁ…」

あまりに急いで走ったものだから体中が悲鳴をあげ、ドアにもたれるように体が崩れ落ちた

「はぁっはぁ…はぁ………」

心臓がドッドッドッと耳元で鳴る
急いで走った所為でもあるけど

「はぁー…もう…」

たかが抱き着かれただけであぁなるとは

「大分ましになったと思ってたんだけどなぁ…」

心拍数が大分治まったところでいつものスタイルへ着替え、椅子に腰かけ今日もらった歌詞を眺める






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